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理事5人で立ち上げた「五役会」が、アドバイザー機能も兼ねた修繕委員会に!

輪番制をとることが多い管理組合の理事。1年で全員交代だと引継ぎも難しく、仕事を覚えたと思ったら任期が終わってしまうし、次の理事はまたイチから始めなければならないので効率がよくありません。特に、中長期的な視野が必要な修繕計画などは立てにくいもの。そこで、主に建物の修繕について考える常設の委員会を立ち上げたマンションをご紹介します。

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問題意識を持った理事たちが「五役会」を立ち上げ

 P2060092「ワコー王子マンション」は、JR王子駅から徒歩10分、総戸数173戸で築40年を超えたマンションです。役員は1年交代の輪番制なので、引継ぎが難しい、マンション管理の運営そのものや知識が継続されない、といった課題を持っていました。そこで、管理や修繕について問題意識を持った当時の理事5人が集まり、「五役会」という常設の会を立ち上げたのです。

 

もともと居住者たちの問題意識は高く、理事会の1週間前に理事が議題を持ち寄り、管理会社と精査して議題に上げる、ということを繰り返してきました。つまり、居住しているマンションについての問題点を発見して、課題を解決していこうとする人が理事として選任されていたのです。

 

五役会立ち上げのきっかけとなったのは、竣工10年目の1回目の大規模修繕について検討していた時でした。修繕計画は、管理会社が主導して策定。当初、理事会では管理会社に任せておけば大丈夫だと考えていたそうです。しかし、管理会社からの計画案は思ったよりも修繕費用がかかることがわかりました。相見積をとり、管理会社と交渉もしましたが、「構造や設備についてよくわかっている会社に任せたほうがいいのでは」という所有者の声もあり、結局、1回目の大規模修繕工事は管理会社が主導したプランのまま着工。予算がオーバーすることとなり、不足費用は理事個人が保証人となり借入をするしかありませんでした。

 

セミナーに参加、勉強会で修繕の知識を高める

図1 「マンションの管理組合の支出はほとんどが管理会社に払う管理委託料と修繕費。特に大きいのは修繕費です。何とか経費を抑えて今後借金をしなくても済むように、修繕については管理組合でしっかり精査する必要があると考えました」と言うのは、五役会初期からのメンバーで、当時は理事として書記を担当していた中川さん。大規模修繕工事が終わってから五役会を中心に、毎月1回、建物の修繕についても話し合う会としたのです。

 

メンバーは、当時の理事長1名と副理事長2名、経理担当1名、書記1名の計5名。5名の役員が揃ったので五役会と名付けました。ただし、これでは理事の負担が大きいため、常設の会とするために理事経験者などからメンバーを募集して、少しずつ人数を増やしてきました。企業が行うマンション修繕のセミナーに参加したり、勉強会を開いたりと、みんなで少しずつ知識を高めていきました。そして、20年目に2回目の大規模修繕を迎えるにあたり、五役会から修繕委員会へと名称を変えて継続。現在は、9名が修繕委員として活躍しています。委員会は経験と知見が蓄積されるため、理事会に対するアドバイザー的な役割も務めているのが特徴です。

 

2回目の大規模修繕では、外壁や鉄部の塗装、ベランダ防水など、費用負担が大きな個所を修繕する予定でした。これまでの知見から、委員の知り合いに見積を依頼することなど手を尽くしましたが、当時の管理会社が、やはり当時の協力会社でないと工事監理ができないという話になり、結局1回目と同じ施工会社での修繕となったのです。

 

 

修繕積立金の値上げと管理体制の見直しを同時に

 OLYMPUS DIGITAL CAMERA修繕委員会では、1回目の大規模修繕終了後に修繕積立金の値上げの検討をはじめました。当時の修繕積立金は平均で2,700円/戸。次の大規模修繕までに必要な額を算出したところ、このままではまた借入をして修繕をしなければならない財政状況でした。そこで、2年に1度段階的に10回値上げをして、最終的に1万5千円分を値上げすることに決めました。

 

もちろん、反対意見もありました。周辺の相場よりも高いという声も出ました。修繕委員のみなさんは、「みんなが現役の今のうちにやっておかないと」と説得。そうすることで、今後の修繕の際には一時負担金を徴収することなく工事をすることができると伝えたのです。「一時負担金ゼロが我々のポリシー。段階的値上げの途中で黒字が出たので、値上げはそこでストップし、それ以降は上げていません」と委員会窓口の秦野さんは言います。年度300万円程度の緊急修繕費を提案したことも、この委員会の特徴です。小修繕、緊急対応等に関する修繕工事に関して予算を計上し、理事会決議で対応することを可能としました。

 

また、同時に管理体制も見直しを図りました。以前から問題のあった管理会社をやめ、会計や事務の管理、建物の修繕はそれぞれ別会社に委託。その後、コンサルタントとしてマンション管理士と設備関係の専門家である一級建築士をそれぞれ立てることにしました。専門家の指導のもと、あらゆる個所の修繕に関して共通仕様書をつくり、発注先を決める際には直接1社ずつ呼んで説明をしてもらっています。「仕様書をもとに疑問点を一つひとつ潰していくので、見積の漏れがありません。委員さんたちの知見もたまっていきますし、とにかく自分たちの手で建物を守っていくこのやり方は、新しいマンションでもぜひ真似してほしいところです」と、マンション管理士の武居さんも感心しきりでした。

 

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次回は、耐震補強工事のために管理組合法人が空き住戸を買い取ったことについて、その手法をご紹介します。

To Be Continued.

概要(取材年月:2020年02月)
  • 建物名:ワコー王子マンション
  • 所在地:東京都北区
  • 階数 :11階建て
  • 総戸数:173戸
  • 竣工年:1979(昭和54)年
  • 管理形態:全部委託
  • 管理会社:(株)ジョイ・コミュニティ
  • 総会開催:毎年5月
  • 役員数 :13名
  • 役員任期:1年(輪番制、うち3名がもう1年留任)

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