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理事会の補佐機関として活躍!コミュニティの軸を支える防災委員会

管理組合の理事は総入れ替えの輪番制であることが多く、ノウハウが蓄積しにくいことに悩む理事会も多いものです。東日本大震災をきっかけに立ち上げた防災委員会が、毎年メンバーが代わる理事会を補佐する機関として、見事に機能している管理組合があります。そんな防災委員会が主催する防災訓練にお邪魔させていただきました。

その他

年2回行われる防災訓練

OLYMPUS DIGITAL CAMERA2月のとある土曜日、マンションの館内に日本語と英語での放送が響き渡ります。「これから防災訓練を開始します…… It is training. It is training. Now a fire has occurred.……」。ここは千葉県市川市。総戸数609戸の大規模マンション「クレストシティタワーズ浦安」では、今期2回目の防災訓練が行われようとしています。

 

浦安駅から歩いて12分ほどの、マンションが立ち並ぶ川沿いに建つクレストシティタワーズ浦安では、毎年9月と2月に防災訓練を行っています。9月の訓練では、消防署や市役所と連携したり、サンマの塩焼きをふるまったりして、毎回200~300人の参加者があります。そして今回は、東日本大震災の教訓から冬の季節の災害を想定して、マンションの防災に関する設備を確認しながら、マンション内の共助・自助にかかわる訓練を防災委員会が企画しました。

 

まずは、エントランスに集まった人たちの中から任意の人が、管理室のコードレス電話を使って消防に通報する「通報訓練」から始めます。手を挙げた小学生のお子さんが、電話で架空の火災事故を通報。電話の向こうの消防士さんにマンション名や棟数・戸数、現在の状況などを伝えて訓練が始まります。

 

消防  「どこから出火したかわかりますか?」

お子さん「〇階の〇号室です」

消防  「火は現在も燃えていますか?」

お子さん「住人が消火器で消しました。いまは煙が出ています」

消防  「その部屋に人がいるかわかりますか?」
お子さん「〇人です。みんな避難しています」

消防  「わかりました。引き続き住人のみなさんは避難をしてください」

……このようなやり取りが10分近く続きます。実際にやってみると、これは案外大人でもパニックになってしまう可能性があることだと実感します。

 

その後、管理会社の担当者の案内でマンション内の防災に関する施設を見学。普段上がることのできない屋上に立ち入り、緊急救助用のヘリコプターのホバリングスペースや消火活動用の連結送水管用ブースターポンプを確認した後は、ポンプ室や受水槽室、発電機室、最後に防災備蓄倉庫を見学して終了です。防災備蓄倉庫では、発電機や投光器、浄水器やリヤカー、救助用品など、充実した防災用品を見ることができました。

 

東日本大震災をきっかけに誕生した防災組織

OLYMPUS DIGITAL CAMERA2011年に起こった東⽇本⼤震災発⽣の際、多くのご家庭と同じく、クレストシティタワーズ浦安もマンション内にいたのは専業主婦や⼦どもばかりで、理事などをつとめた主要な男性たちはみな職場にいて不在でした。関東地方にも甚大な被害がありましたが、幸いクレストシティタワーズ浦安は耐震マンションであったことが功を奏したのか、まったく被害がなかったそうです。ただ、不安な時間を過ごした人や帰宅難⺠となった⼈も多く、いくら何事もなかったとはいえ、マンション内の防災について考え直すきっかけとなりました。

 

防災委員会の立ち上げを発案したのは、当時副理事を務めていた山口さん。2013年に防災準備委員会が発足し、翌年に理事会の下部組織としての防災委員会が正式に認められました。当初のメンバーは理事経験者などから7名。そこから自治会や子ども会など横のつながりで声を掛け合い、広報で啓蒙活動をしたことから、今ではコアで30名ほど、イベント時などにお手伝いをしてくれるボランティアメンバーも合わせると、40~50名が所属しています。ご主人だけでなく奥様も一緒に参加している家族も多い委員会となっています。

 

防災委員会は、月1回の開催。しかし、参加は強制ではなく出られる人が出ればいい、という緩やかなスタンスです。理事会は1年輪番制のためノウハウが蓄積されにくいのが悩みですが、常設の防災委員会があることで、引継ぎがしやすくなっている側面があるそうです。クレストシティタワーズ浦安では、数年にわたって考えなければならないような議題があると、その都度委員会を設置する形をとっています。過去には駐輪場の数が足りないという問題が発生したため“駐輪場検討委員会”を設けて検討しました。その際に防災委員の中から有志が集まって委員会に参加し、情報共有を図って駐輪場の増設を進めました。防災委員会があることで、情報やノウハウを蓄積する場ができたのです。

 

取り組みが認められ、県から補助金が交付される

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防災委員会では、発足とともにマンション内の防災のあり方を考え直し、「共助・自助」へと切り替えました。「備蓄品は通常3日間暮らせるということが基本ですが、609戸もの水や食料は膨大な量になります。とてもそんな量を管理組合では確保できないので、各自用意してもらうことにしました。その代わり、共用部用の防災設備をしっかりしたものにすることに注力したんです」と山口さん。千葉県の地域防災力向上支援に対する補助金交付制度に申請し、受給することに。マンションでは県でも数団体しか受けることができないもので、市川市では当マンションだけという異例の決定だったそうです。

 

「これまでの消防や市と協働した防災訓練の取り組みやマニュアルの作成、収支バランス等の書類が整備されていることなどが評価されたポイントでした」と山口さん。2年前に200万円の交付を受け、共用設備を中心に防災用品を揃えました。防災ツアーで備蓄倉庫を見た住人の中には、設備の充実に感心しながらも、「水や食料は自分たちでしっかり揃えておかないとダメなんだと改めて実感しました」という人もいました。

 

防災ツアーが終わると、参加者はマンションの中庭に集まって芋煮の炊き出しに舌鼓を打ちます。防災委員が中心となって準備をした芋煮。補助金で購入した大鍋や薪を利用して調理しています。子どもたちもたくさん集まってきて、寒空の下、おいしそうに頬張っていました。「マンションがある島尻地区はお祭りやイベントに熱心で、自治会活動も盛んな地域です。僕たちマンションの住人は地元ではない人も多いので、この地域に溶け込もう、みんなでよくしていこう、という思いが強い。自治会が主催する防災訓練にも積極的に参加して、地域全体で防災力を高めていきたいと考えています」と山口さんは話していました。

 

☆☆☆

次回はマンション内の保育園が撤退し、新施設「エアリス」が誕生するまでの管理組合の奮闘をお届けします。

 

To Be Continued.

概要(取材年月:2019年02月)
  • 建物名:クレストシティタワーズ浦安
  • 所在地:千葉県市川市
  • 階数 :地上20階建て
  • 総戸数:609戸(4棟)
  • 竣工年:2006(平成18)年
  • 管理形態:全部委託
  • 管理会社:大和ライフネクスト(株)
  • 総会開催:毎年5月
  • 役員数 :16名
  • 役員任期:1年(輪番制)

マンションライフをサポートする関係団体(リンク)