mainView
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

地方創生とマンションコミュニティの活性化を同時に!タワーマンションの“おいしい”マルシェ

マンション管理組合では、イベントを企画・実行してもその運営が大変で、いつの間にかイベントをしなくなっていた、というケースも少なくないようです。金銭的な負担はもちろん、人手も、時間のかかる準備も必要……となれば、継続するのは難しいもの。今回は、企業の呼びかけに分譲会社、管理会社、管理組合がタッグを組み、管理組合の負担を抑えて楽しいイベントを行ったマンションを取材しました。

各種イベント

岩手県一関市のおいしいものがいっぱいのマルシェ

図1タワーマンションが立ち並ぶ江東区東雲。大規模再開発エリア「東雲キャナルコート」の中でもひときわ大きなツインタワーが「Wコンフォートタワーズ」(総戸数1149戸)です。そびえたつ2棟の間にある中庭に白いテントが並び、たくさんの人でにぎわっています。「レジクラマルシェ 岩手一関おいしい収穫祭」が開催されているのです。

 

一関でとれたお米「めだか米」や昔ながらの製法でつくられた菜種油、新鮮な野菜や果物、創業100年の酒造所がつくる地ビール、本場ドイツ仕込みのソーセージなど、ついつい目移りしてしまいそうなものばかり……。マンション居住者も、みんな笑顔で一つひとつのブースを覗き込みます。マンション管理組合が用意したポップコーンのブースも大人気です。

 

マルシェを主催するのは、Wコンフォートタワーズの管理会社でもある三菱地所コミュニティ(株)などが運営するグループの会員組織である「三菱地所のレジデンスクラブ(以下、レジデンスクラブ)」と、株式会社ukka、そして一関市の3者。ukkaとは、ネットを活用して日本の一次産業の生産者と都市居住者とをマッチングするサービス「OWNERS」を運営するベンチャー企業です。

 

ukkaの代表取締役である谷川さんはいいます。「これまで、生産者が都市部消費者に接点を持ちたいと考えたとき、手段として駅前の大規模マルシェや商談会のような物産展などに参加するという手段がありましたが、その場限りのPRに留まることが多いと感じていました。また、ネット通販という手段もありますが、それだと1対1の点のつながりのままです。そうではなく、もっとお客様に近く、まとまった人がいる場所で“面”として生産者と消費者をつなげることで、産地でのオペレーションを効率的にし、都市部でコミュニティとして、食べる以外の価値を作ることはできないかと考えました。そのとき、大規模マンションを舞台にしたらどうだろう、というアイデアが浮かんだんです」。そこからいろいろなツテをたどって三菱地所に話を持ちかけたところ「それはいい考えだ」と担当者に二つ返事をもらいました。

 

管理会社とITベンチャー、地方自治体が協働!

OLYMPUS DIGITAL CAMERAしかし、問題は「誰が開催予算を出すのか」でした。「都市部が“マンション”という面になるのなら、地方も同地域の生産者が集まった“地域”という面になればいい。OWNERSは一次生産者を応援するサービスであると同時に、地方創生を応援する取り組みでもある」と考え、地方の自治体に話をしてみたところ、岩手県一関市が推進する「地産外商プロジェクト」の趣旨にピッタリだと、予算が下りることに決まったのです。

 

管理会社ではマルシェを企画するにあたって、都市部の200戸以上の規模で日程等が合いそうなマンションに声がけをしました。その結果、3つのマンションによるキャラバン形式での開催となりました。Wコンフォートタワーズ管理組合も、話を聞いて「ぜひやりたい」と手を挙げ、開催が決定。実は、この日はマンションの防災訓練の日でした。管理組合では防災訓練とマルシェを一緒に開催すれば人も集まりやすいと考え、ジュース無料券を作成し、訓練の参加者に配りました。その甲斐あって、今年は200名以上と昨年のイベントと比較すると倍の参加者があったそう。これもイベントの力なのかもしれません。

 

ただ物を売るだけでなく、広場には「一つ屋根の下テーブル」を設置してみんなで食卓を囲むように食事をし、さらに一関市役所の職員によるクイズ、「もち食」文化の残る一関を体験してもらうための餅つきなど、地域の魅力を発信するための趣向も凝らしました。ついたお餅は参加者にふるまわれ、大行列ができています。

 

「都市コミュニティがあるマンションに、生産者やおいしい食材が一つになった“地域”が直接やってくることで、みんなが地方のファンになって応援しよう、という動きができるとうれしい。マンション全体で“現代版の共同購入”みたいな仕組みも十分あり得ると思っています。また、都市部では子どもたちに自然や食、地方に関わる体験などをさせてあげられる場があまりない。子どもにいろいろな体験をさせたい、というマンション居住者のニーズにもマッチしているのでは」と谷川さんは話します。まさに関わっている団体や人がwin-winになれる仕組みです。マルシェは大盛況で、ukkaが当初想定した倍以上の集客があったそう。さらにこのマルシェの告知を受けて、地方自治体やマンション管理会社など、様々な団体からukkaに「ウチでもやりたい!」との声が集まっているといい、マルシェ以外にも、季節のお祭りに食をからめたもの、日本各地の食・文化体験、生産者を招いての食育イベントなど、さまざまな企画を準備しているそうです。

 

今後のマンションイベントの新しい形に?

図2実は、14年目を迎えるWコンフォートタワーズの管理組合では、以前組合主催のイベントを開催していた時期があったそうです。しかし、規模の大きなマンションならではの大変さもあり、いつの間にかフェードアウトしてしまっていました。数年前から「イベントを復活させたい」という声も上がっていて、昨年はお芋掘りなどを行いましたが、やはり管理組合主体のイベントだとかなり大がかりになることもあり、物理的にも金銭的にも負担が大きいのは確かです。

 

「企画から準備、予算まですべて用意してもらい、管理組合の負担が少ないこういったイベントは管理組合にとってメリットが大きい。ただ、完全に乗っかるだけでは意味がないとも思っています」というのは、管理会社の担当者である野村さん。今回は管理組合として、開催場所を検討したり組合広報やジュース無料券の配布による参加の呼びかけ、協力してくれる住人を募ってポップコーンのブースを出展したりしましたが、今後も何か継続していきたいと話します。「居住者が主体的にやるイベントが理想かもしれませんが、みなさんそれぞれに忙しいのが実情です。なるべく負担がないように管理会社としても助けていきたい」と野村さん。今回のような企画は、今後のマンション管理に必要とされる形なのではないか、と話してくれました。

 
概要(取材年月:2018年10月)
  • 建物名:Wコンフォートタワーズ
  • 所在地:東京都江東区
  • 階数 :地上54階建て
  • 総戸数:1149戸
  • 竣工年:2004(平成16)年
  • 管理形態:全部委託
  • 管理会社:三菱地所コミュニティ(株)
  • 総会開催:─
  • 役員数 :─
  • 役員任期:─

マンションライフをサポートする関係団体(リンク)