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都心のマンションで行われる、地域を巻き込んだコンサートと文化祭

マンション内のコミュニティを活性化させる方法のひとつに、イベントの開催があります。各マンション、趣向を凝らしたイベントを催していますが、それで地域とつながるのはなかなかハードルが高いものです。ここでは、近隣地域を上手に巻き込んでイベントを開催している都心のマンションをご紹介します。

各種イベント

住人の懇親会がコンサートに発展

DSCN01892003年に竣工した「東京パークタワー」(総戸数302戸)は、都営地下鉄・東京メトロ「神保町」駅直結のマンション。前編でご紹介したとおり、住人の約2割が元地権者ということもあり、マンション全体で積極的に町会との関わりを持とうとしています。また、竣工当時からマンション内のコミュニティも重視し、毎年夏に住人懇親会を開いてきました。屋内での立食パーティ中心の懇親会で、参加者にはお土産付きです。しかし、なかにはお土産だけもらいにきて帰ってしまう人や、にぎやかな雰囲気やお酒が苦手という人もいて、なかなかうまくいきませんでした。

 

そこで、7年前に理事長になった柿内さんが考案したのがコンサートです。ゆっくり座って参加することができるし、コンサート後の懇親会でも会話が弾みやすいと考えたのです。再開発物件で、町会や地域とのつながりを大事にしている東京パークタワー。コンサートの演者には、地域と関係性が深い人を選ぶことにしました。

 

例えば、近くの楽器店の店員さん、近隣の音楽教室の先生、柿内さんが町会主催のボウリング大会に参加して知り合いになった芸大出身の郵便局の職員さん、柿内さんが会長を務める学区の中学校OB・OGによる合唱サークルなど……。さらに、12月にはクリスマスコンサートも行い、年2回のコンサートを心待ちにする住人も現れました。

 

企画・運営は管理組合。管理費から予算を15万円出し、事前チケット購入制で小学生以上500円としています。機材などは演者による持ち込み。曲目はリクエストを受け付けていて、子ども向けにはクリスマスソングやアニメソング、中高年向けには映画音楽、シニア向けには昭和歌謡などが演奏されます。柿内さんは、来賓として町会や自治体関係者、社会福祉協議会、民生委員、観光協会などにも声掛けをしています。そのため、参加人数は来賓も含めて80~100名に上るそうです。

 

多芸多才な住人たちによる年に一度の文化祭

DSCN0039また、3年前から10月の第1土・日曜日には文化祭を開催しています。これは、夜開催のコンサートには参加できないという人がいたことなどを受けて、より多くの住人が参加できるようにと企画されました。展示形式の文化祭であれば、日中の好きな時間に、いつでも寄ることができると考えたのです。1カ月前から作品を募集し、1人2~4点ほどをホールに展示します。理事が1時間交代で受付をし、好きな時間に立ち寄ってもらう方式です。

 

出展者は毎回20名ほど集まります。展示を見に来る人は、受付を通らずにふらりと立ち寄ることもあるため、正確な人数はわかりませんが、30~40名はいるだろうとのことです。ある時の理事に茶道の先生がいたため、ホールの手前に畳を置いてお茶を点ててもらったり、琴の先生に琴を演奏してもらったりと、多芸多才な住人によってより華やかなイベントになってきています。

 

展示されるのは油絵や版画のほかにキルト作品などもあり、実にバラエティ豊かです。「文化祭のメリットは、自分の作品を紹介する機会があること。そこから同じ趣味の人が見つかることもあって、これをきっかけに地域の水彩画サークルに入って楽しんでいる方もいるんですよ」と柿内さん。文化祭も地域の人々を招待し、足を運んでもらっているそうです。

 

マンションを知ってもらうとともに、住人が地域へ出て行くきっかけにも!

P7110013「東京パークタワーは元々挨拶をする人が多いマンションでしたが、イベントでより挨拶が盛んになり、マンション内のコミュニティが活性化していることを実感しています」と柿内さんはいいます。また、イベントに地域の人を招待することで、マンション住人が地域の人と触れ合える良い機会になると考えているそうです。コンサートも、地縁のある方を中心に招くことで、楽器店や郵便局で会えば自然と挨拶を交わし、さらに輪が広がっていきます。反対に、水彩画サークルに入った人のように、マンション住人が地域に飛び出すきっかけづくりにもなっています。

 

マンション内で開催するイベントでも、ちょっとした工夫で地域とつながることができる──。それにはやはり、マンション管理組合が町会と積極的に関わろうとしてきたことが大きく影響しているように思えます。また、当時理事長だった柿内さんが町会の青年部に入って活動したり、学校のPTA会長となったり、地域の主要な場所に積極的に顔を出してきた実績も大きいはずです。そうした信頼関係の積み重ねが、マンションと地域のつながりを深めていくのかもしれません。

 

さて、多彩なイベントがある一方で、まだまだ発展の余地がありそうなのが、マンション内のサークル活動です。東京パークタワーのサークルは、今のところ40代のお父さんをメインとした「ジョギングサークル」ひとつのみなのです。「例えば敷地周辺の花壇を整えるグリーンボランティアなど、自発的なサークルがもっとたくさん増えればいいな、と思っています」と柿内さん。今後は、理事としての仕事は後進に道を譲り、地域活動に積極的に参加し、マンションの住人同士のつながりはもちろん、町会とマンション住人の壁をなくしていきたい、と語ってくれました。

 

概要(取材年月:2018年07月)
  • 建物名:東京パークタワー
  • 所在地:東京都千代田区
  • 階数 :地上29階建て地下3階建て
  • 総戸数:302戸(その他店舗・事務所22区画)
  • 竣工年:2003(平成15)年築
  • 管理形態:全部委託
  • 管理会社:三井不動産レジデンシャルサービス(株)
  • 総会開催:毎年6月
  • 役員数 :13名(住宅管理組合のみ)
  • 役員任期:1年(再任は妨げない、欠員が出た場合は公開抽選)

マンションライフをサポートする関係団体(リンク)