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渋谷の中心街、築50年超のマンションを建替え。その道筋とは……?【前編】

国土交通省の資料によると、2018年現在、築50年を超えるマンションはおよそ5万戸、10年後には73万戸にも増加するそうで、マンションの躯体の老朽化が深刻な問題となっています。各管理組合で、マンション再生に向けた取り組みが急務となっている中、渋谷の中心部にあるマンションが建替えに成功しました。

その他

都心の一等地に建つマンションでも、建替えは厳しい道のり

建替え前渋谷駅は、いわずと知れた都心の大動脈。JR山手線・埼京線・湘南新宿ライン、東京メトロ銀座線・半蔵門線・副都心線、東急田園都市線・東横線、京王井の頭線の9路線と接続し、商業・文化の中心地です。その渋谷駅から何と徒歩3分。3棟構成のようにも見える白亜のビルが、「テラス渋谷美竹」(総戸数196戸)です。

 

テラス渋谷美竹は、2012年に建替えが完了したマンション。それまで約56㎡の2DKが40戸と事務所が入っていた6階建ての建物が、住宅196戸と事務所や店舗が入る地上17階地下3階建ての堂々としたマンションに生まれ変わりました。

 

しかし、その道のりは決して順風満帆なものではありませんでした。建替えに有利な条件に恵まれていたにもかかわらず、建替えの準備自体が頓挫してしまったこともあったそうです。やっとの思いでこぎつけた建替え決議も、1度は不成立に。そこから2年越しで計画案を見直しやっと可決。これだけの紆余曲折があったのは一体なぜなのでしょうか。また、住人たちはその問題にどのように取り組んだのでしょうか。

 

躯体や排水設備の老朽化、エレベーターがない……

テラス渋谷美竹は以前「美竹ビル」という住宅と事務所の複合マンションでした。昭和34年に財団法人東京都住宅協会(現・東京都住宅供給公社。以下、公社)が建築し、住宅部分を分譲。立地の良さから、長く住んでいる人も多いマンションでした。しかし、経年とともに老朽化が進み、雨漏りや漏水、排水設備の不具合が頻発。またエレベーターがなく階段や踊り場が狭いなど、生活面での不便さのほか、耐震性にも問題がありました。

 

05年に実施した調査によると、これらの問題点を修繕や改修によって改善するためには概算で1億6500万円必要とのことでした。また、新耐震基準に沿って耐震補強をするには、一部の住戸の使用に大きな支障が出てしまうため、実質的に耐震補強は困難でした。エレベーターの設置についても、住戸部分に廊下を設ける必要があり、こちらも事実上困難な状況だったのです。

 

 

高齢女性の要望から建替え案が浮上。しかし……

そんな美竹ビルに建替え案が持ち上がったきっかけは、とある女性住人同士の会話でした。マンション上階に住んでいる高齢の女性が、階段の上り下りがきつく、エレベーターをつけるか建替えをするか検討してほしい、とこぼしたのです。

 

以前から老朽化による不具合も出ていたことから、4~5人の住人が建替え案を作成して理事会に報告。総会にかけましたが、反対する住人がいたことや、当時事務所として1、2階に入っていた公社との話し合いがスムーズに進まなかったことで、あっさり否決となりました。

 

くすぶる建替えへの思い。勉強会開催、推進決議可決、順風満帆と思いきや?

 

このように一旦は否決となった建替え案ですが、雨漏りや不具合があるのも事実です。そのため、住人たちの心のなかには漠然と「もう少し話さないと」という建替えへの思いがくすぶっていたといいます。そこで、理事会では住人アンケートを実施。その結果、建替えに前向きな人が多かったため、02年に自由参加型の勉強会を立ち上げることにしました。住人のつてを頼って、コンサルティングを行う設計会社にお願いし、勉強会を開催。何度か会を重ねるうちに、参加者は増え、常時20名ほどが参加するようになったといいます。

 

建替えへの機運が高まってきたこともあって、その後反対していた住人も合意し、公社とも話がまとまりました。03年には建替推進決議が可決され、建替計画委員会が設置されました。翌年、事業協力者を募集するコンペを開始。数社に案を出してもらい、アンケート形式での記述式投票を行った結果、実現性の高い提案に加え、建替実績の多い新日鉄興和不動産(株)を事業協力者とすることに決定しました。

 

さあ、次は事業協力者の提案する設計計画を吟味して、建替え決議を……、というところで、またまた問題が発生しました。建替え決議がわずかの差で不成立となってしまったのです。それは、なぜなのでしょうか?

 

☆☆☆

建替え決議が不成立に……。その理由は後編で。

 

 無題

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To Be Continued.

概要(取材年月:2018年06月)
  • 建物名:テラス渋谷美竹
  • 所在地:東京都渋谷区
  • 階数 :地上17階建て地下3階建て
  • 総戸数:196戸
  • 竣工年:2012(平成24)年築
  • 管理形態:全部委託
  • 管理会社:(株)日鉄コミュニティ
  • 総会開催:毎年6月
  • 役員数 :11名(住宅管理組合10名)
  • 役員任期:2年(半数改選、輪番制)

マンションライフをサポートする関係団体(リンク)