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高層マンションで下町が活気づく!情緒あふれる人形町の、住人たちの心意気【前編】

江戸三大祭りの一つに数えられる神田祭。数ある氏子町会のなかで、再開発で建てられた超高層マンションを擁する町会があります。マンション居住者も元からある町会に入り、下町の活気を支える――。町会とマンションの理想的な関係がそこにありました。

その他

高層ビルに神社⁉人形町の再開発事業

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東京メトロ半蔵門線「水天宮前」駅から徒歩2分。新大橋通りから少し入ったところ、横しま模様のタイルが印象的な高層マンションの敷地の一角に、小さな神社があります。地元の人から「お茶の木様」と呼ばれ親しまれている茶ノ木神社です。最近では、日本橋七福神巡りでも知られ、全行程2時間程度と日本でもっとも短い距離で巡拝できるといわれ、全国的に人気のスポットとなっています。

 

茶ノ木神社がある人形町は、江戸時代には人形浄瑠璃をはじめたくさんの芝居小屋が立ち並び、庶民の娯楽として人気を集めていた場所でした。人形をつくる人や修理する人、商う人などが暮らしたことが町名の由来ともいわれています。下町情緒が今も息づくこの町に、再開発の計画が持ち上がったのは、1995年のことでした。

 

日本橋人形町一丁目地区第一種市街地再開発事業として始まったこの再開発事業は、翌1996年には再開発協議会を発足、その翌年には再開発準備組合を設立し、2000年に都市計画が決定しました。都市基盤整備公団(のちのUR都市機構)も組合に参加し、総戸数355戸(うち地権者88戸、残りはUR都市機構が運営する賃貸住宅)となる地上39階建ての住宅棟と、31の店舗や事務所が入る地上3階建てのアネックス棟の2棟構成とすることに決まったのです。

 

再開発の4つの目標。地権者が設計から参加して「住むためのマンション」へ

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今から20年ほど前、再開発の助成金を得るにあたって、東京都からは、人形町に活気を取り戻すことを目的に、以下の4点の要望が挙げられました。

1)地域に住み続けられる再開発

   権利者全員の居住継続の実現

2)安全で安心して暮らせるまち

   防災性に優れた空間の創出

3)潤いのある広場の創出など、地域への貢献

   茶ノ木神社、広場、町会事務所の整備等

4)地域の活性化への貢献

   人々が居住し、集い、賑わう空間の創出

 

これらのことを実行するために、再開発には様々な計画が加えられました。敷地の北側にあるエントランスの前には、茶ノ木神社を移設。マンション棟1階には地元町会の町会事務所を設けるため、町会がマンションの区分所有者となっています。マンションの名前は500通もの応募の中から、結ぶ・融合の意味を持つイタリア語とラテン語の造語で「リガーレ日本橋人形町」に決定しました。

 

勉強会の途中から事業計画に携わった管理組合理事長の鈴木さんはいいます。「私は生まれも育ちもこの町なんですが、再開発の話が持ち上がった時は別のマンションに住んでいたんですよ。でも、親が『帰りたい』といったから戻ってきた。私はデベロッパー出身でいわばマンション建設のプロ。どうせやるならと、設計にも携わりました」。

 

設計の段階で大事にしたのは、「売る側の計画」ではなく「住む人のための計画」でした。高層階と低層階のエレベーターを分けない(高層マンションにありがちな対立を生まない)、ダストシュートはつくらない(自分で出したゴミは自分で捨てる)。最も良いとされる高層階を地権者が先に抑える、というのもよくある話ですが、リガーレ日本橋人形町では地権者の住居88戸は低層階に割当て、人気の高い高層階は賃貸住戸に割当てたのです。

 

大規模マンションは独自の自治会を持つべきか?

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町会への加入についても、鈴木さんは持論を持っています。「縦に延びるマンションが“面”である町に新しく入っていく以上、その中に入るべきだと私は思います。よく大規模なマンションでは単独の自治会をつくりますが、そうするとそこだけですべてが完結してしまうし、下手をすると周りから浮いてしまう。地域に入っていくには町会に加入するのが一番です」。

ひとつの町に新しく大きなマンションが建つとき、周辺地域との軋轢は大なり小なり起こるものです。町会にとってみれば、これまでの町のことをよく知らない人たちが一気に入ってくることや、町会の規模が突然大きくなることなどに戸惑いを感じる人もいるでしょう。元々町会の結束が固い場合などは特にそういうことが起こりがちです。最初は町会に入れてもらっていたが世帯数が多いから単独でやってくれといわれた、という自治会や、そもそも最初から自治会を単独でつくることが決まっているマンションも多いものです。

リガーレ日本橋人形町の場合は、下町ならではの仲の良さ、結束の固さはもちろんありますが、88戸分もの地権者が新しいマンションに入居すること、店舗棟があることなどから、最初から地域に根付きやすい環境ではありました。「石を投げれば同級生に当たる」と鈴木さんが冗談にするほど、町会の中に見知った顔がたくさんいたことも功を奏しました。また、建物内に町会事務所があり、町会が区分所有者となっていることで、自ずと町会との結びつきは強くなっていきました。

マンションの居住者である地権者が中心となることで、地元町会と賃貸部分に住むマンション居住者との関わりも自然に生まれます。入れ替わりのある賃貸ですが、町会の婦人部に参加している女性など、地域に溶け込んでいる人も一定数いるそうです。

 

☆☆☆

次回は、神田祭や地域イベントへの係わりについて紹介します。

乞うご期待!

To Be Continued.

概要(取材年月:2017年05月)
  • 建物名:リガーレ日本橋人形町
  • 所在地:東京都中央区
  • 階数 :39階建て
  • 総戸数:335戸
  • 竣工年:2007(平成19)年築
  • 管理形態:全部委託
  • 管理会社:鹿島建物総合管理(株)
  • 総会開催:6月
  • 役員数 :12名
  • 役員任期:1年(再任を妨げない)

マンションライフをサポートする関係団体(リンク)