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西神田コスモス館低-(自治会提供写真)火災発生

まさかの火災発生! 年2回の防災訓練が奏功

2015(平成27)年3月2日、大学やオフィスビルが連なる都心部に建つ千代田の区民住宅等複合施設「西神田コスモス館」20階で火災が発生しました。黒煙が立ち上り、辺りが騒然となる中、現場には上下階の居住者が駆けつけ、消防車が到着するまで初期消火を実施。その結果、上下左右への延焼もなく、最小限度の被害にとどめることができました。初期消火に当たった居住者2人は、自治会が実施する年2回の防災訓練の参加者で、昨年には屋内消火訓練も経験済み。まさに日ごろの備えが功を奏したといえます。

防災・防火

居住者が初期消火を実施、素早い対応で被害は最小限度に

西神田コスモス館1号消火栓

出火時刻は午前8時半ごろ。居住世帯の子どもや大人は通勤・通学で大半が出払っている時刻でした。22階の居住者が窓から見える煙に気付き119番通報し、状況を確認しようと18階と25階から火災現場に駆けつけた居住者2人が、屋内(1号)消火栓を使い、消火活動を開始しました。通報3分後に消防車も到着し、22階の連結送水管を使い本格的な消火が始まったのです。

在宅していた居住者達は、館内放送や隣室からの声掛け、非常階段から響く足音などで火災に気付き、非常階段などを使い一時避難場所になっている隣接する公園に避難。自治会メンバーは消防などに協力し、居住者の安否確認を手伝いながら避難洩れがないかを確認するとともに、不在者への連絡・生存確認を行いました。また同施設を管理する千代田区担当者や区長も駆けつけ、避難所の手配や避難確認などに対応しました。

火災は発生から3時間後に鎮火。同建物は高層物件(20階以上)ということで、建物防火区画・屋内耐火構造による火災対策が講じられていることから、上下階への延焼もなく、また出火元の居住者以外のけが人もなく、大きな被害には至りませんでした。

毎回趣向を凝らした防災訓練を実施。屋内消火訓練も体験

西神田コスモス館(自治会提供写真)神田消防署長感謝状贈呈式

西神田コスモス館では、自治会がお祭りや防災訓練などの各種イベントを実施しています。防災訓練については、防災センター主催の低層階にある児童センター館や保育園を含めた全体訓練に加え、自治会が主催する居住部での訓練を加えると合計で年2回開催しています。とくに自治会主催の活動としては、建物構造の勉強会や非常食の試食会「美味しい防災訓練」、施設内防災設備見学会なども行っています。東日本大震災以降には地震や火災があっても消防が来ない前提での訓練も実施しました。

消火器・消火栓の扱いについては、地下駐車場などで放水体験という形での実施にとどまっていましたが、2013(平成25)年に初めて居室内消火訓練を実施。タイミングよく空き室があったため、天ぷら火災を想定し実際に屋内(1号)消火栓を使った放水訓練を行いました。これは参加者からも「実際にどう使えばよいかが理解できた」「2人で使うコツが分かった」などと好評で、翌年も2回目として開催しています。また初回開催後には住宅部各フロア(7~25階)共用部の消火器設置数を各2本増設。入居開始時点でも設置基準(各住戸から消火器まで歩行距離20m以内)を満たす5本を設置していましたが、防災面の拡充の観点から7台に拡充し、不測の事態に対応できるように心がけていました。今回の火災ではまさにこれらの訓練が生かされたといえます。3月24日には、この通報・初期消火・避難誘導に当たった居住者5人に対し、消火活動への協力を称え、神田消防署長から感謝状が贈呈されました。

「やっぱりお隣同士のつながりが大事」。住民懇談会で痛感

西神田コスモス館緊急講演会

自治会では火災発生から1週間後に、居住者の火災時の対応状況や今後の課題を把握するために「住民懇談会」を開催。事が大きかったこともあり、60人近い居住者が集まりました。懇談会では参加者らを低層・中層・高層階にグループ分けして、ヒアリング形式のアンケートを行いました。

その結果、避難経路については、非常用エレベーターや非常階段での避難が多く、また普段から交流が活発な階では、皆で声がけを行いフロア全体で避難していました。火災を知った方法は、防災センターからの避難放送に加え、「非常階段を下りる足音に気づいて自分も避難した」という居住者も。高層階での出火ということで、低層階の居住者の中には避難しなかった人もいたようです。

避難先については、「目の前に公園があったので避難しやすかった」「1カ所に集まったので安否確認がしやすかった」との声が圧倒的でした。高齢者については鎮火後、併設している児童館に待機するとともに、千代田区側で区内に6カ所ある出張所の和室を避難先として手配したため、2世帯がこれを利用して一晩避難しました。
この懇談会を通じ、「今まで気付かなかった課題に気付けました」(自治会長)。同館では、緊急時には防災センターを通じ宅内に避難放送が流れる仕組みになっていますが、全館放送にするかどうかの判断を「誰がするのか」、「消防署への通報などの初動をどこが担うべきか」などが不明確だったといいます。

また今回の火災は出勤・登校時間に重なっていたため在宅者が少なく、避難などもしやすかった反面、緊急時の居住者連携による対応が常時可能ではないことを再確認しました。自治会では以前“自衛消防隊”として、各フロアの居住者に火災発生時の連絡や避難誘導などの役割分担をお願いしていた時期がありました。しかし会社勤めをしている居住者が多く朝から夜まで不在となるため、「平日に何かあったときに機能しないし、無理があると感じた」(自治会長)ため、現在は取りやめています。今回の経験をもとに、千代田区や消防署と相談し、階層での役割分担など、現状に即した体制整備に向け協議していく考えです。

顔なじみになるため回覧板を復活

西神田コスモス館公園から火災発生階(ブルーシート)

今回の火災で、居住者から多く挙がったのは「居住者同士の日ごろのコミュニケーションが大切」との声でした。自治会としても避難時の近隣への声掛けが必要と感じており、また4月に開催した緊急防災講演会でも、講師からも「ご近所で助け合うのが一番」との指摘を受けたといいます。そこで思い付いたのが「回覧板」。隣近所で顔なじみになるきっかけを作り、各フロアでの交流を深められれば、との意向です。回覧内容は行事の告知となどのお知らせを中心とし、まずは1フロアから開始し順次導入フロアを拡充していく予定です。

その後西神田コスモス館では、6月下旬に消防署主催の消防訓練、7月には防災集会も開催しました。また自治会が主催する秋まつりでは「ご近助(きんじょ)秋まつり」として、防災活動の重要性や居住者同士の連携の大切さなどを伝えるイベントを計画。自治会長は「賃貸だからといってホテルのように依存型になってはいけない。今回の火災を教訓として、災害時に強い住まいをみんなで模索しながら作っていきたい」と話します。自主的・自発的な活動が集合住宅を支える大きな原動力となり、そのために何をするかを考えるのが自治会の役目。規制上難しい対応もありますが、行政側と連携しながら現場に即した防災対策を検討していくとしています。

概要(取材年月:2015年06月)
  • 建物名:西神田コスモス館(区民住宅・区営住宅)
  • 所在地:東京都千代田区
  • 階数 :25階建て(地下2階)・1棟
  • 総戸数:173世帯
  • 竣工年:1999(平成11)年
  • 管理形態: -
  • 管理会社:千代田区(管理主体)
  • 総会開催: -
  • 役員数 : -
  • 役員任期: -

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