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錦糸町ハイタウン見守り活動

現況調査とマップ作りで高齢者を支援――支え合い活動が住民交流を促進

1990年代頃から再開発が進んでいる東京都・錦糸町。駅前は大型スーパーやショッピングセンターなどが立ち並ぶ複合ビルと駅周辺の繁華街が共存している町です。錦糸町駅から徒歩4分の距離に立地する「錦糸町ハイタウン」は、築38年の分譲マンション。現在は、入居者の高齢化が進み、全居住者390人中、65歳以上の住民は、約18%の70人に及びます。手助けが必要な高齢者に管理組合はどうかかわるべきか? 墨田区社会福祉協議会や墨田区高齢福祉課、管理会社の協力を得ながら、管理組合が主体となって行った高齢者への取組みを紹介します。

シニアライフ

孤独死増加の危機を乗り越えるために

錦糸町ハイタウン管理員室

2010年、高齢者の孤独死がありました。発見されたのは1カ月後。周囲住民からの異臭騒ぎが原因で判明したのです。そこで理事長は「このまま高齢化が進むと孤独死が増えてしまう」と現在の状況を危惧し、理事会を招集しました。「孤独死を出さないために何をすべきか?」「顔は分かるが名前を知らない人がいる」「持病を抱えた人や一人暮らしの高齢者の状況を把握しておきたい」「緊急時の連絡先も分かっておくべき」などの意見をまとめ、対応策を練りました。そして、住民同士でお互いに声をかけて支え合える関係を構築することが必要であるという結論に至り、現在の居住者の状況を知ることから始めたのです。

まず墨田区社会福祉協議会に協力を仰ぎ、同協議会が作成した「入居者現況調査票(以下、調査票)」を全戸に配布。配るときは、入居者同士の交流を少しでも深めようと、調査票をポストに入れるのではなく、なるべく各フロアの担当理事が入居者と対面して手渡しすることを心がけました。

調査票には、氏名、年齢、同居者の有無、緊急連絡先のほか、現在不安なことや支え合い活動への協力の可否などの欄も設けました。そして回収箱を管理室前に設置したところ、
回答数は55通。住民からは「定期的に訪問してほしい」「マンションの場所柄、治安が悪いので不安」などの意見や、若い方からは「時間があるときは支え合い活動を手伝います」などの記載も多くありました。理事長は、「回答者数は決して多くはありませんでしたが、住民の要望なども聞くことができ、今後の活動に期待が持てる結果でした」と当時を振り返ります。

マップは色分けシールで一目瞭然

錦糸町ハイタウンマップづくりシャープ

次に見守り活動をするうえで訪問時や緊急時に迅速に対応できるように、各階の「支え合いマップ」を作成。まず管理会社へ連絡し、平面図を提供してもらいました。そこに調査票の内容と各理事が知っている情報を手書きで記入。その後、パソコンで階数ごとに各部屋の外枠を作成し、居住者の状況に応じた色付きシールを貼っていきました。これは、理事等の作成者が全員で作業するため、作りやすさと見やすさを兼ね備えた“ひと工夫”です。赤いシールは、一人暮らしの女性の高齢者、黄色は高齢者の夫婦、青色は一人暮らしの男性の高齢者等と決め、作成者全員で確認し合いました。

理事長は「名前は個人情報なので、あえてマップには入れていません」といいます。さらに調査票と作成した「支え合いマップ」は、鍵付きのキャビネットに保管し、その鍵の保管場所にも鍵をかけて二重ロック。管理の徹底ぶりがうかがわれます。

訪問を楽しみにしている高齢者も

錦糸町ハイタウンみまもりだよりH27年5月号_オモテ

支え合い活動をするにあたり、墨田区社会福祉協議会や墨田区高齢福祉課のみどり高齢者みまもり相談室(以下、みまもり相談室)から「訪問の際や特に緊急のときは、なるべく複数人で行く」「お互いの負担を考えて短時間で訪問」などのアドバイスを受けました。また、みまもり相談室が1カ月に1回作成している『みまもりだより』を配り、話題を広げるよう心がけています。

『みまもりだより』の配布対象は、見守り希望者だけでなく、高齢者世帯と思われる部屋も含め、現在の配布部数は毎月70部まで増えました。住民からは、「今月はまだ来ないの?」と言われるほど訪問を楽しみにしている方もいるといいます。

地道な訪問で大きな効果あり!

錦糸町ハイタウン外観低

しかし住民の中には、定期訪問をしても無言で拒否する人もいます。そんなときは扉の前で「管理組合です。『みまもりだより』を読んでください!」と呼びかけ、ドアポストに入れます。「それでも根気強く定期訪問を続けたところ、今までずっと部屋に閉じこもって、絶対に人と話をしなかった高齢者の方が、防災訓練に出てきてくれたんです。とてもうれしかったです」と理事の一人は見守り活動のやりがいを語ります。

また、マンション内に集会室がないため、住民がお茶を飲んだり懇談したりする場所がないこともあり、30分以上管理員に立ち話をしていく高齢者もいるほどだといいます。そんな状況もあり、理事長は「見守り活動は防災訓練の参加率が上がったり、認知症になった方の対応が迅速にできたりして、大きな効果がありました。今後は調査票の返事がなかった人に再度調査票を渡して回答を促し、さらに新たなイベントなどを企画して、住民同士の交流をさらに深めていきたいです」と意気込みを新たにしています。

概要(取材年月:2015年04月)
  • 建物名:錦糸町ハイタウン
  • 所在地:東京都墨田区
  • 階数 :14階建て
  • 総戸数:315戸
  • 竣工年:1978(昭和53)年
  • 管理形態:委託管理(日勤管理)
  • 管理会社:三菱地所コミュニティ(株)
  • 総会開催:毎年1月
  • 役員数 :15名(理事13名、監事2名)
  • 役員任期:1年

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