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1万4千世帯の大組織 ――住民パワーが行政も動かす

浦安住宅管理組合連合会(千葉県・浦安市)は、地域の団地管理組合などが連携し1982(昭和57)年に設立されました。「居住環境の保全」「高齢化対策」「情報公開・透明化」などを目的に、管理組合同士の情報交換を中心とした活動を続けています。なかでも防災は、同連合会会員らにとって最大の関心事。同市内には埋立地が多く、震災時の液状化被害などが懸念されているからです。そこで、同連合会と浦安市は共同で2015(平成27)年2月14日、防災をテーマに「うらやすマンションふぉーらむ」を開催しました。

その他

きっかけは初代会長のひと声、ゆるやかな組織でスタート

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同連合会には現在、33団地、1万4,057世帯が加入しています。これは、同市内の世帯数の約20%に相当する数です。毎月代表者会を開催し、そこで行われる団地同士の情報交換が、活動の中心です。

同連合会の設立は、1982(昭和57)年3月、団地管理組合の役員を務めていた初代会長が、周辺の公団分譲5団地の管理組合や自治会に対して、「一度皆で集まりましょう」と声をかけたことがきっかけでした。当初、周囲の反応はいま一つだったといいますが、その後、秋ごろに有志が集まり、“ゆるやかな組織”として活動を開始しました。活動が軌道に乗り始めた1984(昭和59)年には会員数も8団地に増え、会の活動をもっと強化しようということで代表幹事制を導入。同時に会の規約も整備し、名称もそれまでの『連絡協議会』から『連合会』に変更しました。

国交省と直談判! 浦安上空飛行を回避

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活動の基本は情報交換ですが、必要に応じ、行政に対しても活発に働きかけています。90年代半ば頃には、新浦安駅のJR線高架下に駐車場を整備してもらえるよう、千葉県の鉄道管理局や企業庁に対して要望書を提出。高架下の駐車場化が実現したこともありました。同駅の周辺地区は公団が計画的に開発した地域で、民間事業者が駐車場をつくるような余地はなかったのです。

また、2004(平成16)年2月に国土交通省が「羽田空港再拡張事業」を発表した際には、南風悪天時という条件下で、年間約5,000機の航空機が浦安市の上空約700~800mを通過することになっていたことを受け、同連合会会長や役員らが同省航空局長と面談、国土交通大臣宛てに「飛行ルート(案)の変更の要望書」を提出しました。県や市も計画変更を要求し、結果として、新設するD滑走路への航空機着陸時の進入角度を従来案から東京湾側にずらすことで、浦安市上空の飛行を回避するという修正案が出されました。

同市住宅課長は「行政の主導ではない自主的な管理組合連合会として、これだけの規模や活動を行っているところは全国でもほかに例がないのでは」と言います。こうした活動を続けていくうちに会員同士の結束が強まり、地域をよりよくしていくための意見や要望が積極的にあげられるようになりました。

「ふぉーらむ」のテーマは防災、ライフラインなどに被害発生

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同連合会にとっては防災も重要なテーマです。同市には、中町、新町エリアを中心に埋立地が多いという特徴があり、以前から地盤の液状化が懸念されているからです。実際に東日本大震災の際には、非木造のマンションで建物の基本構造体に大きな被害は発生しなかったものの、地盤については、「敷地内のライフラインや駐車場などに、程度の差はあれほぼすべてのマンションで被害が発生」(同市住宅課長)したといいます。

こうした状況を背景に、同連合会と同市は共同で、2015(平成27)年2月14日、市内の管理組合などを対象に「うらやすマンションふぉーらむ」を開催しました。テーマは「災害イマジネーション力があなたの身を守る」。ちなみに、過去のテーマを振り返ると、2006(平成18)年~2014(平成24)年に行われた8回すべてが、防災や震災と関連した内容となっています。会場は同市の浦安市民プラザWave101(千葉県浦安市)で、参加費は無料。当日は114人が参加し、会場はにぎわいを見せていました。

“目黒巻”ってなんだろう? イメージ力鍛え脳内で演習

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第1部は、都市震災軽減工学の第一人者である目黒公郎氏(東京大学教授)による基調講演が行われました。目黒氏は、イメージできない状況に対して適切な準備をすることは困難であるとし、災害想像力の重要性を強調。そのほか、防災マニュアル、耐震補強などについて講演しました。

第2部は、参加者が6人一組の15グループにわかれ、実際に災害想像力を高めるための取り組みをしました。トレーニングのツールには、目黒氏の考案した“目黒巻”を利用。目黒巻は、震災発生後の状況や行動をイメージし、専用の用紙に書き込んでいきます。時系列に沿って記入するための横に長い用紙は、完成するとまるで巻物のようになります。コーディネーターはマンションコミュニティ研究会代表の廣田信子さん。研究会理事らがグループごとの進行役を務めました。

トレーニングは、震度7の地震が発生したという前提で、さらに季節、時間、天候などについて3つのパターンを想定しました。震災後の状況を具体的にイメージしていく作業は思ったよりも難しく、ファシリテーターの協力のもと、どうにか完成。さらに参加者らは、テーブルごとに防災に関する意見交換を行いました。

防災に関する講演会は少なくありませんが、今回のような実践的なトレーニングは珍しく、参加者からもたいへん好評でした。

※目黒巻画像出典:東京大学生産技術研究所

         目黒研究室(都市震災軽減工学)

死者出さないことが目標、震災の教訓を活かそう!

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「私たちは、隣近所との結束が地域を支える大きな力となることを、震災から学びました」と、同連合会会長は言います。こうした体験を生かし「首都直下型地震に備え、防災・減災の視点で、『死者を出さない』ことをめざし取り組んでいきたい」(同連合会会長)とのこと。そんな同連合会の活動は、防災をはじめとした同市の居住環境確保の原動力となっているといえます。

浦安をより住みやすい街にするためにさまざまな活動を続ける連合会は、今後も地域住民の暮らしに貢献していくことでしょう。

概要(取材年月:2015年03月)
  • 建物名: -
  • 所在地:千葉県浦安市(活動地域)
  • 階数 : -
  • 総戸数: -
  • 竣工年: -
  • 管理形態: -
  • 管理会社: -
  • 総会開催:6月
  • 役員数 :7名(各団地の代表者から選出)
  • 役員任期:なし

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