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消防車

管理組合と売主、管理会社が協働して開催した、初めての大規模防災訓練

入居したばかりのマンションでは、管理組合理事の仕事に慣れることに精いっぱいで、防災計画の作成や訓練の実施など、防災にまで手が回らないことが多いものです。最近では、管理会社が独自の防災プログラムを管理組合に提供し、協働して取り組むマンションも増えています。今回は、管理会社だけでなく売主が積極的に参加した大規模マンションの防災訓練の事例をご紹介します。

防災・防火
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津田沼防災訓練プログラム0324

総戸数721戸の「ザ・パークハウス 津田沼奏の杜」は、JR津田沼駅から徒歩5分の再開発エリアに建てられたマンションです。東日本大震災後の2011(平成23)年9月から販売を開始したこともあり、全4棟に免震構造を採用したほか、防災倉庫や非常用発電機の設置など防災に特に力を入れています。そのため、ファミリーを中心とした入居者も防災への関心が高い人が多いのが特徴です。

2013(平成25)年の入居時から管理組合の下部組織として防災組織を置き、防災担当理事がリーダーとなって防災への取り組みを始めました。売主の三菱地所レジデンスでは、全ての物件に対して入居時には管理組合に「防災計画提案書」を提供していますが、本マンションではそれを参考にして入居1年目にオリジナルの防災計画書を作成しました。

2年目に入り、作成した計画書に基づいて防災訓練を行うにあたって、売主がさまざまな防災プログラムを提案し、その中から管理組合が当日のプログラムを作成。安否確認と避難訓練を行った後、3つの班に分かれて個別会場へ移動し、それぞれ消防訓練とマンホールトイレ組立訓練、被災生活ワークショップ、防災セミナーの訓練を行うメニューとしました。

当日は、売主と管理会社との社員有志で組織された「三菱地所グループの防災倶楽部」から約60名が集まり、運営に協力。10名からなる防災組織は本部長、副本部長の下に情報班(安否確認、被災生活での情報収集等)、消火班、救助救護班、避難誘導班、生活班(食糧・トイレなど被災生活の取り仕切り)と書かれたベストを身につけて、配置につきます。全4棟を2棟ずつ午前と午後に分け、それぞれ同じメニューを行う予定です。

お互いに蓄積したノウハウで、更なる進化を

セミナー

そなえるカルタ

まずは、震度6以上の地震が発生したという想定で、安否確認開始の館内放送が流れました。それを合図に、各戸のドアには「OK」と書かれた紙が貼られ、1棟につき5名の担当者が確認をしに回ります。その30分後には、火災が発生したという想定で、エントランスホールへの避難訓練です。当日はあいにくの雨だったため、庇のある場所に集まりました。

全員が集まるのを待つ間に、スタッフからカードが配られました。「そなえるカルタ」と呼ばれるそのカードには、トイレや食糧、情報といったカテゴリー分けがされ、それぞれについて東日本大震災の被災者の声をもとにした問題提起がなされています。そばにいる人とカードを交換しながら、様々な場面を想定した「気づき」のきっかけとなります。なお、このカルタは今後もさまざまな声を集めてコンテンツを充実させていく予定とのことでした。

さらに、3つの班に分かれてそれぞれの会場に移動します。エントランスポーチでは消防車見学と消防訓練、マンホールトイレの組み立て訓練が、メインエントランスでは防災の専門家である国崎信江氏による「家族を守るための防災」をテーマにしたセミナーが、そしてパーティルームでは被災生活ワークショップが行われました。

被災生活ワークショップは、南三陸町に拠点を置き今も被災生活をサポートし続けている「復興応援団」を招致。被災者の目線から被災生活の現実を学び、マンション居住者がマンションでの被災生活についてともに考えました。先ほど配られたそなえるカルタをもとに、被災生活について理解し、自分たちのマンションではどんな備えをしたほうがいいのか、居住者の意見が飛び交います。

最後にメインエントランスに集まって、講評です。今回の防災訓練では、午前と午後の部合わせて参加率が約46%と高い数字でした。防災担当理事からは、参加率を次回からさらに高める目標が掲げられ、「防災にはコミュニティの形成が欠かせない。まずは毎日挨拶をし合うところから始めたい」と話がありました。ただし、防災組織の10名はほとんどが昼間働きに出ていていないため、その活動をどう支援するかが今後の課題。「今回の訓練で管理組合と管理会社双方がノウハウを取り込めたと思う。今後は委員だけでなく一般の居住者も巻き込んで防災活動を行っていきたい」と語ってくれました。

概要(取材年月:2015年03月)
  • 建物名:ザ・パークハウス 津田沼奏の杜
  • 所在地:千葉県習志野市
  • 階数 :24階建て他・4棟
  • 総戸数:721戸
  • 竣工年:2013(平成25)年
  • 管理形態:委託管理
  • 管理会社:三菱地所コミュニティ(株)
  • 総会開催:毎年9月
  • 役員数 :16名(1棟あたり4名)
  • 役員任期:1年

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