mainView
防災訓練の様子。消防と連携した心臓マッサージ訓練

区の支援を受けて組織された「防災隊」

荒川区は都内でも屈指の木造住宅密集地であり、隅田川や荒川が氾濫した場合多くの地域が浸水するといわれています。そのため、区では特に防災に力を入れており、各種助成制度のほか自治会単位の区民防災組織は100%組織化されています。そのひとつが「田端スカイハイツ」です。

防災・防火各種イベント

区の指導によるマンションの防災隊

荒川区にある田端スカイハイツは、地上11階建て、全7棟・総戸数423戸の大規模マンションです。区が推進する区民防災組織の一環として、マンション自治会の下部補完組織として1997(平成9)年に防災隊が組織されました。

防災隊は、自治会長と兼任となる防災本部長を筆頭に、同副部長、総務部長・広報部長・防災隊長などの8名が本部役員。さらに全423戸を1班あたり12~19戸の26班に分けた防災班をつくり、班長を1年交代で任命しています。

上記の8名と26名の班長を役員とし、区の消防団から訓練を受けたレスキュー隊は、30~50代の男性約30名で構成されています。

平常時の活動には、以下の5つが掲げられています。

1. 本部と班員との連絡調整

2. 防災訓練の参加、避難訓練時の誘導

3. 班内の人員掌握・災害弱者の把握

4. 避難場所・避難経路の確認

5. 防災班長マークの掲示

2.の防災訓練は通常年2回行われています。防災隊のみが出席し、器具の操作技術等を習得するのが目的の1回目(防災基礎訓練)に対して、2回目の総合防災訓練は居住者全員が対象です。消火器使用訓練や煙体験訓練なども行う本格的な内容で、時にははしご車や起震車体験など消防や区と連携した内容を盛り込むこともあるとか。スタンプラリーや大声コンテストなどのイベントも盛り込んで、今年は約80名の参加がありました。

また、3.の班員掌握については、「田端スカイハイツ防災関係調査票」を作成し、できる限り記入してもらうようにしています。現在の提出率は約95%。災害弱者の把握についても、プライバシーの問題でその内容は班長から本部長のみに伝えることとしています。しかし、これでは緊急時に本部長や班長が不在である場合などは対応できないことになるため、居住者情報の把握は今後の課題です。

災害時における活動指針については、「自宅で災害に遭遇した場合」、「避難指示があった場合」など、考えられるいくつかのケースごとに活動指針が設けられています。その中で班長の最も大事な仕事は、班内住戸の安否確認・避難誘導・必要であれば救助をし、防災本部等が立ち上げた災害本部に報告をすることです。

大震災の教訓を受けて

防災訓練の一環で行われた大声コンテスト

2011(平成23)年の東日本大震災では、田端スカイハイツも軽微ながら被害がありました。まずは共用部の水槽の連結部分が破損。エレベーターは停止し、専有部の水道パイプが14件破損しました。平日の昼間に発生した地震だったため、レスキュー隊のほとんどは仕事に出て留守でした。実際には60歳を超える役員と、主に主婦で構成される班長やその他在宅の人たちで助け合い、留守宅のパイプの元栓を閉めたり、エレベーターが止まったことで家に戻れなくなった居住者を集会室へ搬送したりしました。

「できる限りの手は尽くしましたが、班組織そのものが機能したとはいいがたく、バタバタとした対応になってしまいました」(田端スカイハイツ防災本部長)と言うように、いくつかの反省点が浮かび上がりました。

これらの教訓から、現在はレスキュー隊の人員の見直しと、防災備品等の一層の充実を図っています。区の助成を受けて足の悪い人やけが人などを上階から運べる搬送器具などを購入したほか、区から支給されるAEDも導入しました。また、食料・水・燃料・排泄物処理などの家庭内の備蓄を一層充実するよう居住者に働きかけています。

「今後も組織・設備ともに強固な防災組織としていくことに加えて、より一層のコミュニティの充実を図っていきたい」(同本部長)とのことでした。

概要(取材年月:2014年11月)
  • 建物名:田端スカイハイツ
  • 所在地:東京都荒川区
  • 階数 :11階建て等・7棟
  • 総戸数:423戸
  • 竣工年:1980(昭和55)年
  • 管理形態:委託管理
  • 管理会社:(株)長谷工コミュニティ
  • 総会開催:毎年6月
  • 役員数 :14名(理事12名、監事2名)
  • 役員任期:2年(理事の留任は妨げず、輪番制を採用)

マンションライフをサポートする関係団体(リンク)