mainView
★本部招集

大型台風の襲来で災害対策本部を設置。積極的な運営で、今後のために「経験値」を積む!【前編】

防災委員会を設置しているマンション管理組合は数多くありますが、実際に災害対策本部を立ち上げた経験を持つ防災委員会は多くはないと思います。マニュアルはあっても、行動に移すとなると予定通りに動けるかどうかはわからないもの。東日本大震災の時に、それを実感した管理組合もたくさんありました。今回は、2019年10月の台風19号の発生により、経験も兼ねて対策本部を設置した管理組合の取り組みをご紹介します。

防災・防火

“半自主運営”をモットーに、法人化した管理組合

OLYMPUS DIGITAL CAMERA千葉市花見川区にある「エステ・シティ海浜幕張」は、全5棟総戸数462戸のマンション。20年以上前に竣工し、輪番により選出された理事は、活動を通じて意識を高めており、管理組合法人にもなっています。5期目の2002年には、防犯防災委員会が誕生しました。きっかけは、車上荒らしの被害に遭ったこと。現在は敷地の出入り口に門とオートロックがついていますが、当時はなかったため、外部の人が敷地内を通り抜けしたり、駐車場に止めた車の中のものが盗られたりすることがあったのです。

 

もちろん、警察にも相談しましたが、管理組合では自分たちで防犯対策をする必要もあると判断。4期目から管理組合の下部組織として防犯防災委員会を立ち上げる準備を整えてきました。メンバーは理事から6名、有志数名からなり、現在は9名で運営されています。有志はほとんどが理事OBで、防犯防災に関して必要性を感じている人が手を挙げてくれました。

 

活動内容は、月1回の夜間パトロール。これは委員会メンバーとほかの委員会からもその都度助っ人を呼んで行います。7月の夏休み期間のみ、管轄の警察署から警官を派遣してもらい、子どもと共に参加しています。年に3、4回の階段パトロールは、廊下などに物が放置されるのを防ぐため、各棟から2、3名の助っ人を頼んで回るもの。ひどい場合は、注意喚起の紙をポストインすることもあるそうです。

 

また、昨年AEDを各棟に設置したため、その使い方を含めた救命講習も行いました。講師は市から派遣してもらっています。4月と10月の防災訓練、防災備品の管理、面白いところでは、スローガンコンテストというものがあります。マナー向上や防犯、防災に役立つスローガンを毎年募集し、賞を取った作品は掲示板に貼り出す、というもの。大変しっかりした活動を展開している委員会だということがよくわかります。

 

災害対策本部の正式な実施経験がないことを懸念

OLYMPUS DIGITAL CAMERAしかし、懸念している点もありました。それは、有事の際に立ち上げる災害対策本部を設置した経験がこれまで一度もなかったことです。実は、東日本大震災の時は正式に本部を立ち上げることができませんでした。委員会のメンバーは全員が働き盛りの男性。地震発生当時は仕事に出ており、むしろ帰宅困難者になってしまう人もいたほどでした。本部の立ち上げはその時在宅だった有志の手によって行われたので、正式なものではなかったそうです。

 

そういった経験を踏まえて、委員会では数年前から「アクションプラン」というものを決めています。理事や委員等は日中働いていて指示ができないため、管理室で必要と判断したことについては承認がなくても事後報告のみでアクションが行えるようにしたルールです。例えば、マンションの駐車場は3階建てで1階部分が半地下になっている構造です。また、ゲートは電動で、飛来物を巻き込んでしまうと修復に多大なコストがかかることが過去の経験からわかっていました。そのため、日中に大雨や台風などがあった場合に、ベランダに飛びそうなもの等を置かないように注意喚起をしたり、駐車場のゲートを開放したりといった作業を管理員の判断でできるようにしていました。ただし、こういったアクションプランが実践で使えるのか、不測の事態があった時応用が利くのかなどは確認できないままで不安があったそうです。 

 

 

大型台風が襲来! 災害対策本部を立ち上げへ

ev横貼り紙昨年の9月、台風15号が関東を襲いました。特に千葉は被害が激しく、エステ・シティ海浜幕張でも倒木やエレベーターなど一部設備の故障などの被害があったそうです。そして、それよりもさらに猛烈な勢力を振るうという台風19号が同じような進路をとると予想された時、防犯防災委員会では災害対策本部を立ち上げる心づもりをしていました。

 

「15号より雨も風も強いとの予報だったので、より甚大な被害が予想されました。また、災害対策本部を運営するいい経験にもなるという考えもあったのです」と言うのは、理事長の杉浦さん。当日は土曜日だったため、委員や他委員会を含めた理事のほとんどが在宅であるだろうことも、その計画を後押ししました。

 

台風の前日には各棟のエレベーターのドア横などにベランダの点検や停電への備えについての注意喚起の紙を貼り出し、準備も万全。しかし、当日の朝8時過ぎに突然全館が停電してしまったのです。停電の範囲は、マンションを含む地域に及んでいました。急いで理事長、副理事長、防犯防災委員長が集まり、9時に災害対策本部を設置。地域や各行政機関の報道が随時確認できるよう、テレビが備え付けてある管理棟の2階にあるカフェラウンジを本部とし、対策を練ることにしたのです。

 

 ☆☆☆

初の災害対策本部の立ち上げへと動いたエステ・シティ海浜幕張。後編では、台風19号の被害状況と災害対策本部の対応についてレポートします。

To Be Continued.

概要(取材年月:2020年01月)
  • 建物名:エステ・シティ海浜幕張
  • 所在地:千葉県千葉市
  • 階数 :14階建て・5棟
  • 総戸数:462戸
  • 竣工年:1997(平成9)年
  • 管理形態:全部委託
  • 管理会社:日本マンション管理(株)
  • 総会開催:毎年2月
  • 役員数 :理事29名、監事2名
  • 役員任期:2年(立候補と輪番制)

マンションライフをサポートする関係団体(リンク)