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★私物

共用部分に置かれた私物を問題視。「私物撤去マナー向上委員会」設置で、居住環境を見直そう!

分譲マンションには「管理規約」で所有・居住していくための決まりごとがあります。決まりごとが守られていない事例が発生すると、管理組合にとって常に頭の痛い問題です。掲示板や広報誌で地道に呼びかけるくらいしか手立てがなく、ある程度は目をつぶってしまっているマンションも多いもの。そんななか、「共用部分の私物撤去」を目的に委員会を発足させ、マナー改善に動き出したマンションがあります。

防災・防火防犯・セキュリティー

共用廊下に置かれた私物が問題化

OLYMPUS DIGITAL CAMERA千葉県市川市にある「クレストシティタワーズ浦安」は、総戸数609戸のマンション。敷地内の保育園が撤退したことを受けて誕生した新施設「エアリス」や、年2回の防災訓練など、これまでも何度か当コーナーで取り上げてきたマンションです。クレストシティタワーズ浦安では、新しい課題が発生するごとに、それに対応する委員会をつくり、問題が解決したら解散する、という手法を採用してきました。

 

今回ご紹介するのは、その方法で発足した「私物撤去マナー向上委員会」。その名のとおり、共用部分に放置された私物を撤去し、居住マナーを向上するための委員会です。マンション内の廊下をはじめとする共用部分に放置された私物については、以前から課題とされていました。クレームが入ることも何度かあり、理事会でもたびたび取り上げられてきたテーマでした。掲示板に注意喚起の張り紙を貼るなど策を講じてきましたが効果はなく、本格的に委員会をつくってこの問題に取り組もう、ということになったのです。

 

委員長の田口さんは「私が管理組合の副理事長だった時に委員会をつくることになりました。副理事長は何らかの委員会の担当になるという決まりがあったため、たまたまこの委員会の担当理事になったんです」と言います。田口さん自身は共用部分に私物を置くのはよくない、との認識はあったものの、当初はそこまでの問題意識は持っていなかったそうです。しかし、担当理事としてこの課題に取り組んでいくうちに、意識に変化が出てきたといいます。

 

「例えば、台風などがあると共用廊下に何気なく置いていたものが壊れたり、どこかに飛んで行ったりしてしまう。傘などが飛んで別の家の窓に当たったら本当に危ないし、飛来物に関してはこれまで管理会社の方が処理してくれていましたが、それも大変な作業です。自分たちの住むマンションの環境をよくすることは、すごく大事なことだと思うようになりました」と田口さん。理事の任期が終わったとき、委員からの要望もあり、委員長として委員を続けることになったそうです。

 

まずは、共用廊下をきれいにするところから

ところで、共用部分の私物に関しては、特に共用廊下や玄関ポーチに私物を置くことをある程度許可されているマンションもなくはありません。しかし、前述したような安全上の問題、また防犯・防災上の問題、そして美観の観点から、クレストシティタワーズ浦安では、管理規約で共用部分への私物放置は禁止されていました。委員会では、まず住人にアンケートを取り、私物を置くことについて何が問題かを聞くことに。結果、共用廊下の私物を問題視する人が多かったため、まずは月1回共用廊下の巡回をするところから始めました。

 

委員会のメンバーは、田口さんを入れて全部で6人。全住人に委員会の発足を知らせた際、手を挙げてくれた有志のメンバーを中心に構成されています。そこに理事が加わった数名で、月1回、20階建て4棟分の廊下を回るのです。もしも、私物が置かれていた場合は、文字通り「撤去」するのではなく、撤去のお願いについて書かれた印刷物をクリアフォルダーに入れてその家の新聞受けに入れておきます。何度注意しても直らない場合は、放置物に直接張り紙をすることもあります。

 

「巡回をする日は事前に一斉告知しておき、結果を報告するということを繰り返すうち、次第に私物が減ってきました」と田口さん。中でも、自転車や台車、子ども用の大型おもちゃのほか、日よけ用のすだれがよく目についたそうです。「すだれは、夏場、日が差して暑いから仕方がない、という声がありましたが、廊下側ではなく部屋の内側につけていただければ何の問題もない。自転車についても、最近は高価なものが多いので駐輪場に置くのではなく家まで持って帰りたいという意見があり、エレベーターに乗せて運んでもいいということになりましたが、それを置く場所は廊下ではなく家の中です、ということを繰り返し説明しました」。

 

張り紙をした場合などに、住人から苦情が来ることもありますが、直接委員会が対応するのではなく、管理事務室で対応してくれているためトラブルも少ないとのこと。巡回の結果報告では、「これだけ私物が置かれていました」とマイナスの結果を載せるのではなく、「こんなにきれいになってきました」とポジティブな内容を報告するように工夫したそうです。

 

 

巡回活動をさらに進化させ、イベントと絡めた取り組みも

たなばた面白いのは、階ごとで私物の置き方に違いが出ることだそうです。「例えば、同じ階でほとんどの家の私物が撤去されていると、いつの間にか全部がきれいになっている。逆に数軒私物を放置している家がある階は、ずっと片付かないまま。周りがやっているから大丈夫、という心理が働くのかもしれませんね」と田口さんは言います。

 

最近は、この巡回をもう一歩進化させる取り組みも行っています。子どもの参加促進やイベント化です。巡回に子どもが参加することで、子どもたちにもマンションの環境を考える機会が与えられるだけでなく、子どもが住環境に目を向けることで大人たちが襟を正す、という効果も期待できます。また、夏には七夕と合わせて住人のマナー意識向上のためのイベントを行いました。共用部分の一部に大きな紙を貼り、短冊ならぬ付箋紙に「マンションの環境をよくするお願い事」を、子どもたちを中心に書いてもらうのです。

 

「共用部分に私物が一切なくなるということを当面の目的にしてきた委員会ですが、その根本にあるのはマンション内のマナーの問題です。私自身この活動を通して、一人ひとりが自分のことだけを考えるのではなく、周りの人に対して自分の行いがどんな影響を与えるのかを考えるのがとても大事なことだとわかりました。ただ物がなくなればいい、ということではなく、みんなが協力することでよりよい環境で気持ちよく暮らしていくのを目標に、今後もイベントなどを絡めた活動を行っていきたいです」と田口さんは語ってくれました。

 

概要(取材年月:2019年09月)
  • 建物名:クレストシティタワーズ浦安
  • 所在地:千葉県市川市
  • 階数 :地上20階建て
  • 総戸数:609戸(4棟)
  • 竣工年:2006(平成18)年
  • 管理形態:全部委託
  • 管理会社:大和ライフネクスト(株)
  • 総会開催:毎年5月
  • 役員数 :18名
  • 役員任期:1年(輪番制)

マンションライフをサポートする関係団体(リンク)