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油圧式のエレベーターを巻き上げ式に交換。居住者間の対応が絆を強め、コミュニケーションも促進!

築年数が経ったマンションでは、エレベーターや受水槽などの共用部分の設備が経年劣化し、やがて交換の時期を迎えます。もちろん、長期修繕計画書に盛り込まれているものがほとんどですが、なかには様々な理由で交換を迫られるケースも。諸事情でエレベーターの交換を余儀なくされ、そのことでかえって居住者間の絆が深まったマンションの事例をご紹介します。

その他

日常生活に欠かせないエレベーターの交換を検討・決議

OLYMPUS DIGITAL CAMERA東京都大田区にある「コスモ多摩川ラミューゼ」は、総戸数26戸のマンションです。前回ご紹介したように居住者間の仲が良く、年に数回バーベキューや音楽会、ハロウィンパーティなどを開催しています。理事長の是近さんを中心に、エントランス部分とマンション裏の駐車場前に花壇や鉢植えを置き、季節の花を飾っている、とても環境のいいマンションです。

 

そんなマンションに、数年前、エレベーターの交換の話が持ち上がりました。というのも、コスモ多摩川ラミューゼにはそれまで油圧式のエレベーターが設置されていたのですが、今後10年以内に交換の時期を迎えます。しかし費用のことを考えると、数年後に予定している大規模修繕工事などと一緒には到底行えません。それに現在のメーカーが部品の供給を終了してしまった場合、エレベーターが故障したときに交換する部品がなく、メンテナンスや修理ができなくなります。このような理由から、エレベーターの交換を早めに実施することになったのです。

 

交換には問題もありました。コスモ多摩川ラミューゼは26戸という規模ですが、建物の右側と左側が完全に分離していて、同じ階でも右側と左側の行き来ができません。そのため、この規模のマンションとしては珍しく、両側にそれぞれエレベーターがあるのです。もちろんどちらも同じメーカーのものなので、交換するとしたら2基とも替える必要があり、費用は倍に膨らみます。理事会ではその年から3年ほどかけて話し合い、エレベーターを交換する決議をしました。

 

工事期間中の上階の住人への配慮が、うれしいサプライズを生んだ

OLYMPUS DIGITAL CAMERA幸い総会でも交換は可決されました。さらに、エレベーターのメーカーと交渉をして、費用も現在の積立金で賄うこともできました。残った問題は、工事期間中にエレベーターが使えなくなることです。工事期間は丸1ヶ月。建物は7階建てなので、5階以上に住む方、特にお年寄りへの配慮が必要です。そこで、理事会では住人にアンケートを実施。その結果、日々の食料の調達や業者の配達、ごみ出しなどに不安があることがわかりました。

 

「規模の小さなマンションですから、住んでいる人はみんな顔見知り。誰がどこに住んでいるか、どこに気になるお年寄りがいるかなど、理事たちはよく知っています。対応としては特に大仰なことはせず、不安な方には重いものはなるべく事前に買っておいてもらい、もしも行き来が大変な時は、その都度理事に声をかけてもらって手伝う、ということになったんです」と是近さんはいいます。その他、3階と5階の踊り場に椅子を置き、途中で休めるようにしました。

 

 住人たちが何より喜んだのは、ある日掲示板に貼られた張り紙でした。それは、マンションに住む小学生の兄弟が手書きで作ったもので、「僕たちがお手伝いしますので、声をかけてください」と書いてあったのです。結局、事前の準備などが功を奏したのか小学生の手を借りることはなかったそうですが、みんなとても元気づけられ、温かい気持ちになったそうです。

 

「その子たちはある理事の息子さんなのですが、1ヶ月間エレベーターが止まることや、それでお年寄りが困ることを伝え聞いたのでしょう。『じゃあ、僕たちに何かできることをやろう』と2人で話し合い、そんな張り紙を作ってくれたんだと思う。その気持ちがとてもうれしくてみんなの励みになりました。うちのマンションには色々な年代の人が住んでいるけれど、みんな子どもが大好き。会えば挨拶したり声をかけたりして、とても大事にしているんです」と是近さんはいいます。

 

空いた機械室がコミュニケーションルームに変身!

図1工事が無事終わったころです。工事会社から、油圧式から巻き上げ式に変わったことで、これまで使っていた機械室が空いたと話がありました。敷地裏側の、駐車場の前にある機械室です。広さでいえば畳5畳分くらいの小さなスペースですが、ここを改装して、住人のコミュニケーションルームにしようと考えました。

 

値下げしてもらったエレベーター工事の費用の一部を改修費に回し、さっそく改装。椅子や机、備品などをみんなで持ち寄ると、小さいながらも理事会が開けるくらいの設備が整いました。部屋の名前は「ココルーム」。コスモ多摩川ラミューゼの「コ」と、コミュニケーションの「コ」をとって名付けました。ドアの前に貼られたかわいらしい表札は、是近さんの手作りです。集会室がなかったマンションに小さな部屋が誕生したのです。

 

ココルームは、毎月4、5名が集まる理事会はもちろん、防音性が高いため楽器の練習やカラオケをはじめ、ちょっとした集まりに頻繁に利用されています。「理事の1人に塾の先生がいて、その人が毎週水曜日に算数教室を開催してくれるんですよ」と是近さん。子どもたちが好きな時間にやってきて、それぞれ宿題や課題に取り組み、わからないところがあれば先生に聞く、という教室で、毎週小学生数名が集まるそうです。「予想外の工事で大変でしたが、かえってみんながより仲良くなれた気がします」と是近さんはうれしそうに語ってくれました。 

 

概要(取材年月:2019年04月)
  • 建物名:コスモ多摩川ラミューゼ
  • 所在地:東京都大田区
  • 階数 :地上7階建て
  • 総戸数:26戸
  • 竣工年:1988(昭和63)年
  • 管理形態:全部委託
  • 管理会社:大和ライフネクスト(株)
  • 総会開催:毎年9月
  • 役員数 :4名+監査1名
  • 役員任期:1年(再任は妨げない)

マンションライフをサポートする関係団体(リンク)