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管理費と修繕積立金は、30年以上前から値上がりなし!良好なコミュニティから始まる運営手法とは?

分譲マンションの区分所有者が負担する管理費と修繕積立金。適切な維持管理のために大切なことだとはわかっていても、それらが値上がりするのは家計への影響も大きく、なるべく避けて通りたいものです。だからといって、長年にわたりその見直しを行わないでいると、いずれ、より大きな負担となって返ってくることが多いようです。今回は、「できることは自分たちで」の精神で自主管理を行い、外注費を抑えているマンションをご紹介します。
※前回紹介した「秋祭り」の記事はこちら

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管理費は一度上げただけ。それからは住人たちの「やりくり」で運営

図1総戸数165戸の「コープ南砂」は、1981年に竣工。管理員の受付・巡回業務と清掃員の日常清掃業務を除くすべての管理業務を住人が主体となって行っている自主管理のマンションです。管理費と修繕積立金は合わせて16,600円(月額、全戸同額)。管理組合理事長の小林さんいわく、江東区の同規模のマンションと比べると、負担が抑えられているそうです。

 

実は、入居当初は15,000円だった管理費と修繕積立金を、毎年5%ずつ上げていくという案も出されていましたが、却下されてしまった経緯があったそうです。その後、6年目に一度16,600円に引き上げ、それ以降30年以上経った現在まで一度も上げずに管理をしてきました。

 

「“値上げしない”と決めた以上、何とかやりくりするしかない。やれることはできるだけ自分たちでやろうと決めて、力を合わせて管理をしてきました」と小林さん。その“上手なやりくり”のおかげで、消費税3%が導入された時、5%、8%に上がった時も値上げをせずに余剰金(繰越金)がある状態でやってきたそうです。また、これまでに2回の大規模修繕工事や給排水改修工事などを行っていますが、すべて修繕積立金で賄っています。しかしさすがに、2019年10月の消費増税に対しては管理費等の値上げ案を検討中とのことです。

 

管理の一例としては、管理組合の会計業務を自分たちで行っていることがあげられます。最初にパソコンが得意な人がエクセルでフォーマットをつくり、誰にでもできるようにしました。「会計実務を管理会社に頼むとかなりの額になります。日本のマンション管理のシステムは受身的ですが、管理費を少しでも抑えたいなら、自分たちで考えて動くことが大事」と小林さんはいいます。

 

コミュニティ形成の一翼を担う環境整備修繕委員会

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そこで大きな役割を担っているのが、「環境整備修繕委員会」です。この委員会は管理組合の業務を補佐するため1998年に立ちあげた組織で、必要に応じ理事長が招集し、構内の整備作業や住宅設備の補修などを行なっています。

 

例えば敷地内にある公園のベンチ。ペンキがはがれたり傷んできたりしたら、委員会で塗装改修をします。防犯灯の水銀灯の交換も自分たちで。業者に頼むと18,000円かかるものが、委員会で処理することで部品代だけで済みます。また、管理費で草刈り機を購入し、敷地内の芝生部分の除草・草刈り作業を実施。まさにできることは自分たちで、の精神です。

 

さらに、年に4回、管理組合と自治会の共催で「清掃デー」を実施。マンション共用部分の廊下などを参加者全員がデッキブラシで清掃するもので、毎回100名以上の参加があるそうです。清掃終了後にはみんなで集まって、用意されたお茶やビールなどで談笑。コミュニティ活動の一環としても、役に立っています。

 

「戸建てだったら自分の家の周りをきれいにするのは当たり前でしょ。ゴミが落ちていたら拾うのも当たり前。デッキブラシでの清掃は大変そうに思えるかもしれないけど、みんなでやると楽しい。環境美化に貢献できているという思いや帰属意識も持てるし、きれいにしているとみんな気持ちよく過ごせて、きれいに使おうという意識も働くんですよね」と小林さん。床洗浄は以前業者に頼んでいた時には年間150万円ほどかかっていたものを大幅に圧縮。設備補修費も年200万円近く節約できているといいます。

 

 

ゴミの分別で報奨金も。良好な管理はコミュニティがカギ

IMG_1804コープ南砂の管理費の差配については、支出を抑えることが主ですが、収入としては居住者の管理費のほか、約20台分の契約駐車場や来訪者も利用できる臨時駐車場の料金、駐輪場使用料、集会室利用料などがあります。

 

また、江東区のリサイクル活動の一環である集団回収に登録し、報奨金を受け取って自治会費に組み込んでいます。これは町会やマンション管理組合などのご近所同士がグループをつくり、区に登録。家庭から出る新聞紙や雑誌、空き缶などを集めて回収業者に引き渡すことで区から報奨金がもらえるものです。きれいに分別してゴミを管理することでリサイクルに関しての意識が高まるだけでなく、年間20~30万円ほどの報奨金を得ることができます。

 

これだけの管理運営ができる理由を小林さんに尋ねると、「やはり日頃のコミュニティ活動に尽きる」のひと言が。「居住目的で住んでいる人、長く住んでいる人が多いから、自分たちのマンションという意識が強い。管理費の滞納者が1人もいないのも、そのためでしょうね。管理組合の中心メンバーは、高度経済成長を支えた団塊の世代なので、対応力がある。また、修繕、会計などそれぞれの分野に明るい人がいてみんなが活躍してくれているんですよ」と小林さんがいうと、「そういった人たちをまとめる小林さんみたいな人がいることが重要なんだよね」と、環境整備修繕委員会の中心メンバーで防災委員会本部長を務めている沢里さん。仲の良さとともに、信頼関係がうかがえます。

 

「自主管理は“できることを無理せずやる”ことがコツ。居住者では対応が難しいことは業者に頼めばいい。受身ではなく自ら動いて、1人で背負うのではなくみんなで協力することも大事です。その根幹となるコミュニティを築くには、どこから仕掛けるかがポイント。『値上げをしよう』といえばみんなが反対するだろうけど、『きれいな花壇をつくろう』だったら反対する人はいないでしょ。無理なくみんなが受け入れてくれるものから始めるのがいいと思いますよ」とアドバイスをくれました。

 

 

概要(取材年月:2018年10月)
  • 建物名:コープ南砂
  • 所在地:東京都江東区
  • 階数 :14階建てなど
  • 総戸数:165戸
  • 竣工年:1981(昭和56)年築
  • 管理形態:自主管理(一部委託)
  • 管理会社:─
  • 総会開催:毎年5月
  • 役員数 :管理組合8名、自治会13名
  • 役員任期:管理組合1年(毎年4人が交替)、自治会1年(輪番制・総入れ替え)

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