mainView
P5120017

超高層マンションで1回目の大規模修繕工事 積立金不足の管理組合がとった方法とは?【後編】

大規模修繕工事に際して修繕積立金が大幅に足りないことが発覚した浦和の超高層マンション。金銭面の問題に気付いてから解決までをご紹介した前編に続き、後編では、コンサルティング会社や施工会社を決定し、具体的な工事の実施についてレポートします。

その他

コンサルタントを立て、公募により施工会社を決定!

P5120071築12年目に大規模修繕工事の実施を計画した「ライオンズマンション コスタ・タワー浦和」(以下、コスタ・タワー)。修繕予算を捻出するために発足した大規模修繕積立金委員会は、その役割を終えると発展的に大規模修繕委員会へと移行し、さっそく修繕計画について考え始めました。この時、当然管理会社からの提案があったのですが、委員会では一度その案を断っています。「ほかの会社と比較検討もせずにその案を受け入れては随意契約だと思われてしまうかもしれない。スムーズな合意形成のために、住人の賛同を得られるよう、誰もが納得できる方法で施工会社を決めることにしたんです」と修繕委員長の新井さんはいいます。

 

そこで、まずはコンサルティング会社を募集しました。新井さんをはじめ委員会のメンバーは、当然ながらその道に関しては素人。専門家として中立の立場で意見をしてくれる人が必要です。応募のあった4社から相性や信頼性を重視して選び、どういう工事をするのか、どこまでやるのか、といったことを一つひとつ議論し、今回は外壁のクリーニングやひび割れたタイルの張り替え、屋上の防水の修繕を中心に行うことを決めました。

 

次は施工会社の公募です。こちらは6社から応札があり、会社の実力や施工方法、価格などあらゆる角度から項目を立てて修繕委員会とコンサルティング会社で検討、採点すると、結果として管理会社の系列である会社に施工してもらうことに決まりました。

 

「2つに工区を分ける、上からゴンドラで吊るなど、工法はどこもほとんど同じでした。決め手はズバリ価格。一周回って大京穴吹建設さんにお願いすることになりましたが、今でも一番良い選択だったと思っています」と新井さん。各種行政機関へ届け出を行ったり、住人だけで話し合いたいときには気を遣って席を外したりと、仕事内容にも配慮にも満足していたといいます。また、エントランスに「工事用ポスト」を設置し、居住者の質問や要望に臨機応変に対応したり、その日の作業工程や洗濯物情報をコミュニケーションボードに貼ってお知らせするなど、そこに生活する人たちに寄り添う姿勢に安心感を感じているとのことでした。

 

タワーマンションならでは! 大規模修繕工事の工夫とは?

さて、前編でタワーマンションの修繕工事の場合、特に『物件の特徴を抑えた計画』が大事だという話をしましたが、コスタ・タワーも例外ではありませんでした。

コスタ・タワーの場合は、1、2階に店舗があり、24時間営業のコンビニや生花店などが入っているため、それらの営業にいかに影響を与えないように行うかがポイントの一つでした。これらに対応するために、施工会社では、比較的人の出入りの少ない深夜に工事を行ったり、日曜定休の店舗の場合は日曜に、年中無休の店舗の場合は出勤前の早朝に工事を行うといった配慮により、ほとんど営業に差し障りなく工事を進めました。また、小学校が隣接しているため、通学する児童の安全を考え、大型車両の搬入時間の制限等も実施。居住者に対しても、早朝や深夜に職人が出入りすること、日曜日にも工事が入ることなどを事前に丁寧に説明し、“住人ファースト”のきめ細かな対応を徹底しました。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERAまた、コスタ・タワーは外周にぐるりとバルコニーがあり、回遊できるつくりのため、隔て板を外して手の届く範囲はバルコニー内での作業とすることで、ゴンドラ作業が大幅に圧縮でき、安全性の向上やコストダウンを実現。作業員がバルコニーに入ると室内の様子や洗濯物が見えてしまうという心配もありますが、先に述べたようなコミュニケーションボード等であらかじめ作業工程を伝えることで、居住者も準備ができ、安心できたといいます。

 

紆余曲折を経ながらも、間もなく終了する大規模修繕。工期中、大京穴吹建設では中間アンケートを実施し、定期的に居住者の声をきいてできる限り改善につとめました。また委員会では、月1回、コンサルティング会社の立ち会いのもとで工事の進捗をチェックし、詳細を把握してきました。積立金の問題も、結局積立金委員会の決議の後、翌年に3.5倍に引き上げ、2021年、2024年と3段階で値上げしていく予定です。改定後は、積立金にかなり余裕が出たと新井さん。きっと2回目、3回目の大規模修繕工事は、1回目の教訓を生かしてよりスムーズに、計画的に行われることでしょう。

概要(取材年月:2018年05月)
  • 建物名:ライオンズマンション コスタ・タワー浦和
  • 所在地:埼玉県さいたま市
  • 階数 :31階建て
  • 総戸数:216戸(ほか店舗15戸)
  • 竣工年:2006(平成18)年築
  • 管理形態:全部委託
  • 管理会社:(株)大京アステージ
  • 総会開催:毎年5月
  • 役員数 :19名(第13期全体)
  • 役員任期:1年

マンションライフをサポートする関係団体(リンク)