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管理組合主導で団地再生コンペを開催 団地をまるごと公園にするプロジェクトが始動!

1950年代から大量に供給された団地の老朽化が社会問題になるなか、団地の再生プロジェクトがあちらこちらで進行しています。しかし、そのほとんどは団地を供給する団体や行政等が主導して建物そのものの機能や設備を更新し、新たなコミュニティを創生する取り組みが多いのが事実です。ここでは、管理組合主導のもと行われた、一風変わった団地再生プロジェクトをご紹介します。

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相続や空き家問題、少子高齢化……。危機感から住民主導で再生に乗り出す

fbより 給水塔の上から横浜市旭区にある「左近山団地」は、約200棟、総戸数約4800戸にものぼる巨大団地です。その中心にある62棟・1300戸の中央地区は、1968年の竣工当初から自主管理を行っている分譲の団地。元々自主管理をしていたため、早くから管理組合が組織としてしっかりしているのが特徴でした。

 

しかし、多くの団地が抱えるのと同じ問題が、左近山団地にも発生していました。区分所有者の63%が65歳以上という高齢化に加え、相続人が決まらない住戸が5戸ありました。年々団地を離れる人が増えて空室率が増し、人が居住していない部屋が82戸と、空き家問題も深刻化しています。こうした課題を深刻に受け止め、団地の衰退化を懸念した管理組合は、「若い世代を団地に取り込む」という目標を掲げ、横浜市の団地再生支援事業に申請をしました。

 

市が進める団地再生支援事業とは、団地に居住する住民が中心になって団地の課題に取り組む、「住民発意の団地再生」を支援する事業。具体的には、申請があった中から選定された団地に対し、コーディネーターを無料で派遣して団地の課題を整理したり、団地再生マスタープランの策定などの支援をしたりします。2014年、無事に市の事業に選定された左近山団地は、横浜市住宅供給公社よりコーディネーターを派遣され、団地再生への第一歩を踏み出したのです。

 

キャッチフレーズは「花と緑の左近山」。コンペ形式で広くプラン提案を募る

左近山プールfbより管理組合では、コーディネーターを交えて団地再生への取り組みについて話し合いを重ね、キャッチフレーズを「花と緑の左近山」とすることに決めました。敷地内の豊かな自然環境を生かし、子育て世代に楽しんでもらえる環境を整備しつつ、空き家を有効活用して若い世代の転入を促進することを基本的な方向性として位置づけたのです。

 

環境整備と空き家対策を2つの柱として団地再生を進めることに決めた管理組合。その後も、管理組合の諮問機関である中長期計画検討委員会で7回の会合を開いてアクションプランの検討を行い、翌年は横浜市マンション・団地再生コーディネート支援事業にも選定されました(支援機関1~3年、年間5回まで)。そして、「いろいろなアイデアがもらえる」というコーディネーターの助言もあり、プランに基づいた具体的な提案を広く募るために、管理組合主催によるコンペティションを開催したのです。

 

コンペでは、デザイン会社や大学の研究室、マンション管理会社など24もの団体からの提案がありました。厳正な審査によって選ばれたのは、スタジオ ゲンクマガイ提案の「左近山ダンチパークプロジェクト」。それは、使われていなかった集会所前のプールに木の板を張りウッドデッキの交流スペースを設ける、交通公園に芝生を敷いて広場をつくりベンチを置くなど、外部環境の整備に関して「団地をまるごと公園化する」という新しい提案でした。

 

みんなでつくり上げた広場でオープニングパーティ!

4早速、この提案に対して管理組合では第1期整備地区の実地設計を提案者に委託。2016年にはその工事にかかる費用を総会にて予算化しました。約6000万円の費用を必要とするこの計画に対して、「老朽化している建物に手を入れるべき」との反対意見もありましたが、専門家も交えた長期的な視点からのプランニングや、管理組合の地道な働きかけによって、最終的には4分の3の合意を得ることができました。

 

今年の6月に第1期の工事が終了。管理が行き届いていなかったプールは木のぬくもりが感じられるステージに、デッキテラスにはピザ窯や太陽光発電を完備した東屋などが設けられました。その際に大切にしたのは、みんなでつくり上げること。交通公園に張った芝生は近くの小学生が、ピザ窯は若い世代が、木のテーブルは老人会が、それぞれ協力しあって仕上げました。集会所前に置かれた木のベンチには可愛らしい絵が描かれていますが、これも小学生が描いてくれたものです。

 

新しい広場のお披露目を兼ねて、工事完了後には管理組合主催の「パークフェスティバル」が開催されました。ピザ窯でピザを焼いたり、縁台で野点や囲碁の大会を行ったり、かつてプールだったステージでは音楽やダンスなどが披露されたりと、広場の10のゾーンで様々な催しが行われ、大勢の人でにぎわいました。外部の参加者も含めると、来場者はおよそ500人になりました。

 

「プロジェクトは、まだ第1段階が終わったばかり。これからも外部の様々な知見を持つ方たちに助けていただきながら、団地再生を進めていきたい」と話す理事長の村上さん。「最近はあそこで子どもたちが踊ったり遊んだりする姿が見られるようになった」と、ステージを指さして目を細める姿が印象的でした。

概要(取材年月:2017年09月)
  • 建物名:左近山団地 中央地区
  • 所在地:神奈川県横浜市
  • 階数 :5階建て
  • 総戸数:1300戸(62棟)
  • 竣工年:1968(昭和43)年築
  • 管理形態:自主管理
  • 管理会社:─
  • 総会開催:毎年6月
  • 役員数 :16名
  • 役員任期:2年(立候補制、残りは輪番制)

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