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高齢者の孤立をゼロにする!区の高齢者への取り組みにマンション自治会が賛同

高齢者の住宅問題のひとつに「孤立死」があります。孤立死につながる高齢者の孤立化が大きな課題となっていますが、地域のつながりによって解決できる例も少なくありません。少子高齢化が進む中で、様々な対策に乗り出し始めた自治会。高齢者の「孤立ゼロプロジェクト」を推進する足立区と、その趣旨に賛同し活動に参加したマンションを取材しました。

シニアライフ

地域での見守り、声かけ活動を支援する足立区の取り組み

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内閣府の「平成28年版 高齢社会白書」によると、我が国の人口の4人に1人は65歳以上の高齢者であり、足立区も例外ではありません。今も各地で高齢者の割合は増え続け、50年後には日本の人口の2.5人に1人が高齢者になるとされています。また、高齢者のみの世帯は全体の4割を超え、そのうち夫婦2人もしくは単独世帯が過半数となっているそうです。

 

このような高齢者世帯の中には、家族や地域社会との交流が著しく乏しい「社会的孤立」に陥っている世帯が多くあります。そうなると、生きがいがなくなり生活に不安を感じるようになるばかりでなく、消費者被害に遭いやすくなったり、最終的に孤立死に至ったりするケースも見受けられます。これらを受けて、高齢者の社会的孤立を防ぐために、各自治体で高齢者支援の取り組みを行っています。

 

足立区では、「孤立ゼロプロジェクト推進活動」(以下、孤立ゼロプロジェクト)という取り組みが展開されています。介護保険サービスを利用していない70歳以上の単身世帯、75歳以上のみで構成されている世帯を対象に、区内の町会・自治会や民生委員が訪問調査を実施し、実態の把握と支援を必要としている方を早期に発見するために、定期的な見守りや声かけを行い地域活動などへの社会参加を促すことが主な活動内容です。平成25年に条例として施行され、現在この活動に参加を申し出ている団体は、区内436町会・自治体のうち430団体にのぼります(平成29年1月末日現在)。

 

このプロジェクトに取り組むマンションのひとつ、「グリーンコーポ千寿」は、総戸数464戸の大規模マンション。居住者の1人が地域の民生委員を務めていたことでプロジェクトの存在を知ったマンション自治会には、この活動に参加するある事情がありました。

 

「病気になったら仲間はずれ」。老人会の難しさを実感

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築40年を迎えるグリーンコーポ千寿では、居住者の高齢化が問題になっています。毎年敬老の日には70歳以上の高齢者にささやかなプレゼントをしていますが、申し込みは約200人にのぼります。それでも十分多いのですが、「私の実感としては、申し込んでいない人も相当数いる」と語るのは、自治会長の杉山さん(仮名)。竣工当初からこのマンションに住み、管理組合理事会や自治会を支えてきた杉山さんご自身も、高齢者のひとりです。

「マンション内に“老人会”を設けていますが、うまく機能しているとは言い難い。なぜなら、老人会みたいなものは健康な人たちだけの集まり。病気にでもなってしまったら仲間はずれなんです」と杉山さんはいいます。現在60名ほどの登録者がいる老人会ですが、実際の高齢居住者の数からすると、やはりやや少ないように感じます。

それでも老人会では、ボウリング大会やカラオケに出かけたり、みんなで集まって手仕事をしたりと、楽しんで活動をしています。自治会にも「高齢者部」を設けて予算を組み、それらの活動の一助にしているそうです。

「千住地区は典型的な下町で、マンションの居住者にも顔なじみ同士だったという人も多いんです。外に出てこない老人については、元々の知り合いや老人会のメンバーが声かけはしますが、出てこない人にはみんなそれなりの事情があるのだと思うと、なかなかそれ以上は踏み込めない」と杉山さん。孤立ゼロプロジェクトの活動内容にのっとって実態調査も済ませ、単身世帯への声かけもなるべくしていますが、実際に各家々を回ってみて、その難しさを実感しています。

近隣との関係も良好な自治会。一方で課題も

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グリーンコーポ千寿の自治会ができたのは、杉山さんが入居してから4年後のこと。当初は近隣の町会に加入していましたが、人数が多かったため独立したのです。「区にお願いごとをするときでも、管理組合では取り合ってくれない。これは自治会が必要だと、理事が集まって結成しました」と杉山さん。現在自治会への入会率は99%。前回ご紹介したさくらまつりや大規模な夏祭りの開催など、とても活発に活動している自治会のひとつです。

近隣には、昔からある下町、都営住宅、新しい大規模マンションなど全く違う特徴を持つ自治会があります。自治会同士の交流はあまりなかったのですが、平成5年に契機がおとずれました。近くにある大きな公園を下水処理のポンプ場にする計画が持ち上がったのです。反対運動をきっかけに周辺自治会と協働。今では情報交換をしたり、それぞれが開催するお祭りの手伝いをし合ったりと、親しく交流しているそうです。

しかし、高齢化が進んだマンション内では、管理組合の理事だけでなく自治会の役員のなり手不足も大きな課題です。前回ご紹介したように、前任者が辞めたあと後任が決まらないため、一時的に自治会長の杉山さんが管理組合の理事長を兼任しているというのが現状。訃報を聞く頻度も増しました。「あるマンションでは、毎年5件くらい孤立死があると聞きました。うちのマンションから孤立死だけは出したくない。そのために、いつでも相談できる場所をつくっておきたいんです」と語る杉山さん。今も現役で仕事を続けながら、仕事帰りには敷地中央にある管理室に毎日顔を出し、常駐の管理員さんとともに「相談しやすい場所づくり」を日々実践中です。

概要(取材年月:2017年04月)
  • 建物名:グリーンコーポ千寿
  • 所在地:東京都足立区
  • 階数 :14階建てなど
  • 総戸数:464戸
  • 竣工年:1979(昭和54)年築
  • 管理形態:一部委託
  • 管理会社:大成企業(株)
  • 総会開催:5月
  • 役員数 :常任理事12名、一般理事28名
  • 役員任期:常任理事(理事より推薦 再任可)、一般理事(輪番制、任期1年)

マンションライフをサポートする関係団体(リンク)