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団地周りの緑地を冒険! 子どもたちが集まる自然観察クラブ

都市のイメージがある横浜ですが、驚くことに里山の風景が所々に残っています。山を切り開いてつくられた住宅街にも、周りを見渡せばまだまだたくさんの自然が見られるのです。そんな里山の面影を周囲に残す団地で、子どもたちを対象とした自然観察クラブが元気に活動しています。

各種サークル活動

身近な団地の自然と触れ合う

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JR根岸線「港南台」駅から歩くこと10分。敷地が広く配棟がゆったりとした団地の中でも、より広々として開放的な「港南台せきれい団地」が見えてきました。きれいに手入れされた敷地の中を進むと、中央付近にある集会室から子どもたちの元気な声が聞こえてきます。今日は「港南台自然観察クラブ・クロロ(以下、クロロ)」の月1回の活動日。子どもたちを迎えるのは、クロロのサポーター、チャーリーこと中塚隆雄さんです。

クロロでは、毎月第2土曜日の午前中に活動をしています。まず、せきれい団地の集会室に集合してから、団地の中や周辺を歩いて生き物を探し、観察します。もう一度集会室に戻り、チャーリーさんを中心にみんなでその日見た鳥や虫、草花などのまとめをするのです。「前はきちんとワークシートをつくって今日やることをきっちり決めて進めていたけど、ある時忙しくて準備が間に合わず、行き当たりばったりでやったら子どもたちがすごく生き生きしていて。以来、特に準備をせずに臨んでいます」とチャーリーさん。それがかえってまるで小さな冒険のようで、子どもたちにとっては新鮮なのかもしれません。

今から20年以上前、チャーリーさんは、近くにある「横浜自然観察の森」でボランティアをしていました。それを知った団地の子ども会の役員さんから声がかかり、子ども会の催しとして春の自然観察や秋のクラフト講座などのお手伝いをしたのがきっかけで、団地に住む子どもたちとの接点ができたのです。

また、ちょうどその頃、環境庁の事業として「こどもエコクラブ」が発足。メンバーを集めて登録すると様々な活動支援が受けられることから、チャーリーさんはこの制度を利用して団地の子どもたちを集めた自然観察クラブをつくることに決めました。「こどもエコクラブ」は(公財)日本環境協会の事業として継続し、今でもクロロをはじめ全国に2千を超えるクラブがあり、12万人の子どもたちが環境活動をしています。

「ボランティアを始めてから団地の自然を改めてよく見ると、フェンスの中と外でタンポポの種類が違う。団地の周りに里山の草花があることに私自身も気づかされました。子ども会の行事で自然にのめり込む子どもがいることを知って、身近な場所で子どもたちに自然観察をしてもらったら、と考えたんです」とチャーリーさんは言います。

たくさん観察したら、集会室でふりかえりを

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集会室で出席を取り、全員が双眼鏡を手にしたら、さあ自然観察に出発です。当日はまだ寒い季節でしたが、子どもたちは元気。チャーリーさんが双眼鏡の注意点を説明していると、早速大きな木から鳥の声が聞こえてきます。よくよく見ると、小さな鳥が数羽、それも種類の違う鳥がいるようです。シジュウカラ、キツツキの一種のコゲラ……横浜でキツツキが見られるとは驚きです。

そのうちに、チャーリーさんはフェンスをひょいっと乗り越えて、団地ののり面へと行ってしまいました。子どもたちも当たり前のようにそれに続きます。「クロロの入会条件は“フェンスを乗り越えられること”なんですよ」と笑うチャーリーさん。鋭い斜面を列をなして器用に歩きながら、さるのこしかけやふきのとう、梅にヨモギ……と次々にたくさんの自然を見つけていきます。「ねぇチャーリー、これは何?」「何だろうね? どこかで見たことない?」。子どもたちの質問にすぐには答えないチャーリーさん。その代わりに触ったり匂いをかいだり、一緒に五感を駆使して観察します。「玄関のドアを開けたら、もうそこがフィールド」というチャーリーさんの言葉通り、子どもたちは身近な団地から自然の恵みを存分に享受している様子でした。

ひと通り団地の周りを回ったら、集会室に戻って観察カードを書きます。みんなさっき見てきた草花や生き物の絵を、自分の記憶と図鑑を見ながら描くのです。1人2、3枚書き終わったら、団地の敷地図が書かれた大きな模造紙に、どこで見つけたものなのかを思い出しながら貼り付けていきます。最後に、全員でその紙を囲み、一つひとつチャーリーさんが解説をしていくのです。そこで、観察の時に感じたみんなの「?」が説明されていきます。

昔ながらの子ども同士のコミュニティのようなクラブ

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クロロの子どもたちは現在約10人。小学校3年から6年生までの子どもが所属し、中には引っ越してもまだ来てくれる子、兄弟で参加している子たちもいます。会費は年2,000円。主に傷害保険や集会室の利用料に使われています。

今年で21年目を迎えたクロロですが、一時は存続の危機もあったそうです。「団地に住む子ども自体が少なくなっていることと、習い事や塾などで忙しい子どもが増えていることが大きな理由です。今いる子どもたちは、近くの小学校の先生に頼まれて校庭で自然観察の出前授業をやった時にいた子たちが多いですね。出前授業からこのクラブの存在が口コミで伝わったようです」とチャーリーさん。

自然観察の途中にも突然鬼ごっこが始まったり、この後の遊ぶ約束をしたりと、色々な学年、性別の子どもたちが集まり、まるでひと昔前の子ども同士のようなコミュニティが出来上がっています。親もクロロのイベントのサポートなどで集まる機会があることから、このクラブの存在が、親同士の交流の場にもなっているようです。ほかにも、かつてクロロに入会していた団地の子どもが、成人してからも後輩たちに声をかけてくれることもあるそうで、クロロを中心とした交流の輪は、団地内でじわじわと広がりをみせていました。

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こどもエコクラブのホームページはこちら!⇒http://www.j-ecoclub.jp/

概要(取材年月:2017年02月)
  • 建物名:港南台せきれい団地
  • 所在地:神奈川県横浜市
  • 階数 :4階建てなど
  • 総戸数:14棟・262戸
  • 竣工年:1983(昭和56)年築
  • 管理形態:委託管理
  • 管理会社:日本総合住生活(株)
  • 総会開催:4月
  • 役員数 :約20名
  • 役員任期:2年

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